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決死行

落ち着け、剣の攻撃は通った。という事は…


「攻撃し続ければ…倒せない相手じゃない!油断しないように行こう!」


ただ、今の僕に出来る事なんて、剣での攻撃、石の投擲、龍化した手足での格闘しかないわけです。しかも見た感じあの牛…ミノタウロスはどうみてもパワータイプ。自分から死地に飛び込んでいかなきゃいけない…ハードモードかな?


「ブモォォォォ!!」


かなりの速度で、腕を振るってくる。ギリギリ避けられるけど、いつまで持つか…!


攻撃を避けながら、脇腹を狙い剣を振るうが、返しが早く、剣が当たる前に腕に阻まれた。


「くっそ…!体の大きさが違うとやりにくい!相手もそうなのかもしれないけど!」


拳を避けながら、自分が思った事を大きな声で叫ぶ。別に状況がよくなったり等はしないと思うけれど、叫ばないとやってられないよ!


「ブモォォォ!」


「何言ってるか…分からないっての!!」


当たらない事に業を煮やしたのか、拳を滅茶苦茶に振り回すミノタウロス。それを回避したのちに顎に向けて蹴りを放つも。容易く止められてしまった。


「ヤバい!?これじゃ…」


背中への衝撃によって、一瞬呼吸が出来なくなる。どうやら勢いよく地面に叩きつけられたみたいだ。…いってぇ…


「ブモォォォォォ!!」


「うわっ、危ないな!?」


トドメの一撃だと言わんばかりに、倒れた所を踏み潰そうと足を降り下ろして来た。容赦ないなぁ…!


「これでも…喰らえ!!」


腕を切り落とそうと、腕に向けて剣を振るう。しかし、鉄を切ろうとしたかのような堅さに、剣を弾かれてしまった。


「…剣も通じないのかよ…!うわっ!」


剣を弾かれ、呆然としている所を腕で凪ぎ払われ、木を何本か折って、岩に激突した。


「ぐっ…どうするかな…剣が通じる場所を探すしかないか…?」


まずい、まずいまずいまずい!!こんな事ならもっと考えてから飛び出せばよかった!攻撃は腕に弾かれる、防御はほとんど意味を為さない、紙切れみたいに吹き飛ばされる…


出来た事は、逃げ続ける事だけ…くそっ、本当にどうすれば…


《…のう…話がある》


「今忙しいんだけど…!手短に!」


《…我と完全に()()せんか?》


…え?それってどういう──


《戯け、固まるな!!死ぬぞ!》


「え?うわっ!?危なか…ぐふっ!」


右腕での攻撃を囮にした、二段構えの攻撃を受け、吹き飛ばされた。…やっべ、片方の目、視界が真っ赤だ…頭から血を流してるって事か…本当にヤバい状況になってきやがった…!


《大丈夫か?話を覚えているな?


うん、バッチリ…それで、なんで急に?


《何故か出力が足りないのだろう?ならば足せばいいことだ…我がいると、力が分散してしまうようだからな…》


…でも、それって…消えるって事なんじゃ…つまり…


《また死んだような状態になるな、それがどうした、何年前に死んだと思っている?何万年も昔だぞ?》


…どうすればいい?…方法は?


《簡単だ、我がお前の中から消える。つまり、紅蓮を自身に突き立て、一度死ぬ。》


成る程…痛いだろうな…


《早くしろ、もうすぐ気付かれるぞ》


分かってる…


会話が終わった後、紅く染まっていない方の目にミノタウロスが映る。


体を低くし、前傾姿勢をとる。…間違いなく突進の体勢だ。


「僕は…まだ、死んでやれないから…!」


ボロボロの体に鞭をうち、何とか立ち上がり、紅蓮の切っ先を自分に向けて、一気に突き刺す。


すると何か、別の人格が失われる感覚と、最後の言葉が聞こえて来た。


《…最後の瞬間まで、足掻いてみせよ…我の魔力を全て持っていったのだ、すぐに死ぬでないぞ?》


それを皮切りに、魔力が吹き荒れる。その魔力によってミノタウロスの体が浮かび上がり、地面に落ちる。


「なんだこれ…!筋力とかも上がってる…!…ありがとな、テリー」


再度突進の構えを取ったミノタウロスが勢いよく突っ込んで来たけど、もう焦る必要もない。


その突進を片手で受け止め、もう片方の拳で眉間に一撃をぶちこみ、ミノタウロスを吹き飛ばし、飛び蹴りを放つ。


「ブモッ!?…ブモォォォ…!!」


「漸く、敵として認識しましたか…遅いですね」


紅蓮を居合いの構えで構える。ミノタウロスは大木を武器にし、勢いよくブンブン振り回すが、


「…ここ!」


ミノタウロスの武器にしている大木をバターのように簡単に、居合い切りで切り捨てた。


「…予想外の威力…うん?まだやるかい?」


倒れたミノタウロスを見ると、まだまだやる気みたいだ…目が赤く血走っているけど、ボロボロでもう立ち上がる気力もないらしい。


「…これで、終わりにするね?」


ミノタウロスの角を掴み、ミノタウロスを放り投げた後に、炎の柱を発生させて焼きつくす。それでもまだしぶとく生きているようだったから、剣で首を落とす。ミノタウロスの血が顔にかかり、少しの悪臭に襲われる。


「…さて、終わった…あれ?」


何か刺さってる…あ、れ…し、まったな…これ、麻酔…が…


「よし、龍人ゲット♪…でもかなりボロボロだね…」


「いいんじゃねぇの?生死なんて問われないんだし。あんたのやりたいようにやれば?」


…あ、これまずいパターンだ…気張れ!


「えっ!?普段なら五時間位はぐっすりなのに!」


「ちっ…一旦引くぞ、これじゃ勝ち目も薄い!」


あ、逃げてくれるみたいだ、よかったぁ…とりあえず、急いで飛んで帰ろうか…


「よいしょっと!」


翼を広げ、月夜を悠々自適に飛び回りながら里に帰る。…里に着いた途端に強烈な眠気に襲われたけれど、家についてから玄関で倒れて、そのまま気を失った…












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