表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/198

一蹴。

「さてと……おたくは敵でいいんだよな?」


「貴様がそこに倒れているのを守るというなら、敵だな」


互いに睨み合い、相手が一歩踏み出す瞬間を見逃さないようにする。


俺は光牙との手合わせで、急に馬力を上げてくるような無茶苦茶なやつがいると分かった為、気を抜けないんだよなぁ……よし、まずは勝利条件を確認しよう。


まず一つ、相手の排除。生死を問わない。二つ、光牙の安全の確保。この二つだな。となると、こいつを抑えてられるといいんだが……まずここで戦うのは得策じゃねぇな。


……駄目元で提案してみるか。


「じゃあよ……場所を移そうぜ。ここには無関係のやつもいる。どこかいい場所はないか?」


「良いだろう。丁度、いい場所なら知っている」


そう言うが早いか、走って来て俺の顔面を掴む。そしてすぐに感じる浮遊感。これやベーなと感じ始め、腕を殴るが、あまり効果は見られない。そしてすぐに手が離され、地面に背中から落下した。


「いってぇ……! お前ここどこだよ!? 遺跡なのは分かるけど! どうやってここまで……」


「お前の里から見える山にある遺跡だ。貴様に合わせていては二日ほど経ってしまうのでな、少し飛んだ。早く着いただろう?」


本当に、敵側の龍人の身体能力はどうなってやがんだと叫びたくなったが、ギリギリ抑えた。


しかし、あいつは俺に合わせていたら二日ほどかかると言った。要するに、ここから光牙の所まで、時間をかけることなく到達できる。


ここで倒すしかない訳か……じゃあ、敗北条件。


これは簡単だ。俺が倒されること。それ以外にも不安要素があるが、取り敢えず今は捨て置く。


「こーれはキツいかもしれねぇですわ……」


格闘の構えを取り、相手の攻撃に備える。


「構えたな? なら……行くぞ!」


襲撃者の姿が消える。加速か、転移……はないな。


ま、どこにいるかなんてのは分かってるんですけどね。


「……オラァ!!」


俺の回し蹴りが、相手の横腹に入り、近くにあった柱まで吹き飛ばす。当たった時、骨をへし折る感覚が足に感じ、行動を阻害できると感じた。


「なるほど、狼人特有の気配察知か。忘れていた」


しかし、相手は柱に手をかけ、何事もなかったかのように立ち上がる。


(嘘だろおい……あの部分の骨折れてんなら普通はまともに……!)


すると、先ほど相手が衝突したことが原因なのか、柱に罅が入り、折れた。折れた柱が相手を押し潰していく。


「流石に死んだだろ……」


「いや、生きているよ」


柱の瓦礫をものともせずに、立ち上がる。


「……もうあんた、体が金属でできてるって行った方が信じられるよ」


「……聞いたことがないか? 龍人の中で、体を金属のように硬くして砲撃も防ぐやつがいると」


「あー……いたわ。ということはおたくは……ロックか。金属なのに岩か……まぁいいや、名前なんて」


「ほう……?」


そう、名前なんてどうでもいい。鉄並みの硬度? それがどうした。 砲撃を防ぐ? だからなんだ。


「敵なら容赦なんて、いらねぇだろうが!」


魔法を使用し、先ほどより早く駆ける。相手もそれを確認し、全身を硬化するロック。


「俺は、自分の肉体を強化することしかできないみたいでね……!! 《リミット・オフ》!」


俺の肉体を、白い閃光が駆け巡る。ロックの拳が大振りに振るわれ、俺に衝撃が伝わる。当たった部分がとても痛い。骨が折れたのだろう。


だが、止まる訳にはいかない。耐えられない痛み、なんてレベルではないんだから。


「うぐっ……うぉぉぉらぁぁぁぁ!!」


肉体の限界を一度だけ取り払い、今自身にできる最強の一撃をロックの首に当てる。へし折った感覚を一瞬感じ、もの言わぬ肉の塊になった肉体は遠くに吹っ飛んでいった。


「あー……クソ痛ぇ。まぁ……一応勝利だわな。限界以上の一撃だから足がボロボロだけど」


俺は、足を押さえながら、どうやって戻ろうか考え始めた。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ