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義手探し。

あの後、レーテさんもやって来て、盾でぶっ飛ばされた後、取り敢えず一人で突撃するな、やるにしても誰かを頼れと言うことになった。


その後、皆が自己紹介をしあい、それぞれよく話すようになった。


その度にお前は何してるんだという視線が突き刺さった……そして次の日。拙い手つきで薪割りをしながら思ったことを口にした。


「……これ無茶苦茶すんなってことは言われてねぇよな……そういや、どんな感じの仕事なんだっけ……使いって言ってたけど……」


「光牙さんが別行動してるうちに終わらせて、白焔に乗って伝えて来ましたよ。そしたら暫くそっちにいてくれとの事でした」


おおっと、一番聞かれちゃいけない部分は……聞かれてないな。セーフ! だよね……?


「へぇ……ん、やっぱ薪割りとか耕しとかしにくいな……」


前の襲撃で、左腕を失った……というか爆散させた……そのせいで薪割りも畑を耕すことも儘ならない。畑仕事は真っ直ぐ振り下ろすことがまず無理だし、薪割りもまともに割れることの方が少ない。


「うーん……魔法で作るにしても毎日だとすぐ魔力が尽きてしまいそうですね……」


「うん、その前に炎の腕だと木製の物全部燃やすことになるし……義手かなぁこれ。俺達の種族って生やせないんだよね? 蜥蜴みたいに」


「無理ですね。再生が出来るのは魔物でも一握りです」


ですよね。ということは義手かぁ……まぁ、戒めにはなるね。効くかどうかは置いといて。


「うーむ……義手ってどこで手に入るのかな? お金もかかりそうだし……」


「あ、近くに義手とかを取り扱ってる店があるみたいですよ? 見てきます?」


おぉ、それはありがたいことだ。左腕がついたならまともに働くこともできるだろう……お金は暫くキツいだろうけど。


「行ってみますか……いつまでも何もできないー、なんて自分が嫌ですし」


「じゃあ、行ってみましょう!」


俺と雛は、二人で義手の店に向かうことになった。


──────────────────────


「……ここ?」


「ここですね」


「スッゴい廃れてない? いやこういう場所だからこそいい物が手に入るか……?」


雛に連れて来られてみた店は、一言で言えば、ボロい。と言った印象だった。潰れてないだろうな……


「取り敢えず、入ってみますか……すいませーん、お邪魔しますー!」


「おう、邪魔するなら帰れー」


「はーい……って待てよぉ!? 真面目に帰る所だったわ!」


一度開けた扉を、また閉めようとして踏みとどまる。その様子を見た店主と思わしき強面の男は、楽しそうに笑っている。


……何故こんなのに乗りそうになったのか自分でも分からないけど、なんで帰そうとしてきたんだこの人……


「あん? いいだろ別に。初回の客は弄るって決めてんだ。向こうが手を出したら合法的に殴れるからな……」


「……何故店を出したんでしょうかこの人……」


「それは俺も思うけど、口に出すのは失礼かと……」


「てめぇも大概だ坊主。それで? 何を買いに来た?」


「義手を」


義手と聞いた途端、目が細まった。


「ほぉ……坊主、お前なにやった。その歳で義手が必要になるたぁ、まともじゃねぇな」


「仕方なく魔力暴走させて吹っ飛ばしたんだよ。そうしなきゃ殺られると思ったからさ」


「ふむ……少し火傷があるな。炎の魔力暴発……無茶苦茶すんなぁ、坊主の癖に」


……この人、坊主坊主ってしつこいな……


「まぁね、死んでたまるかって一心だと人間ぶっ飛んだことするもんでしょう? それとこれでも17歳だ、坊主はやめてくれ」


「なぁに言ってんだ、まだ成人もしてねぇなら坊主だろうが。しかし……死んでたまるか、という意思ね……よし、あれ持ってくるか」


そう言うと、店の奥に入っていき、戻って来たときには包みを持っており、それを机の上にポンと置いた。


「こいつは結構なじゃじゃ馬だ。強い意志を持ってねぇと指一本動かすことすら出来ねぇ」


「うーん……鉱石は? どんな物を使ってる?」


「ディターミネイト鉱石だ、高い強度、耐熱性を持ち、その持ち主の意思に応じて更に強度を増す……んだが、生半可な覚悟じゃ動かなくてな……」


「すいません、見せてもらっても?」


「あぁ、構わねぇぞ嬢ちゃん」


布を取り払われ、中身が露になる。その腕は白銀に輝いており、自分の主を待っているかのようだった。


「いいねぇ……これにするよ。金額は?」


「動かせりゃくれてやるよ、売れねぇんじゃ困ったもんだ。じゃ着けるか?」


「……やっぱ痛いよね?」


「まぁ、痛いだろうな。接地面から神経まで無理矢理繋がる訳だからな……魔導義手とはそういうもんだ。1日2日じゃ済まない激痛が襲うぞ、坊主」


激痛……1日2日じゃ済まない、ねぇ……多分過剰表現だろうし……


「そんなに痛いんですか? その魔導義手って」


「あぁ、まず魔力の通り道に繋げる必要があってな……通り道を通る際に酷い痛みがあるそうだ。簡単に言うなら、神経に無理矢理繋げるから、かなりの激痛がある……」


……あ、ショック死するかもしれねぇ……神経繋げるのかやっぱ……


「じゃ、着けに行くぞ坊主。嬢ちゃんもついてきてくれ。押さえるやつが必要だ」


「は、はい!」


ちょっと待って!? 心の準備も出来てねぇよ! 死ぬぞこれ……! あー、義手か火で形成するかの二択だったら、最初から火の方を選んどくんだった!!












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