表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/198

困惑。

「……今まで何してた、オタクは。それに左腕どうした」


尻餅をついた状態でロビンを見上げる。狼人の威圧が、自分の体を硬直させる。以前敵として相対した時とは違い、明白な怒りを感じとれる。


まぁ、以前がそういうのに疎すぎたのかもしれないが。録な会話してこなかったなぁ……相槌を打ったり、最低限の会話しかしてこなかった。


「……必死で生き延びたよ、死んでたまるかって気持ちで。左腕は魔力暴走させて一緒に吹き飛んだ」


「そうかい……なぁ、俺あん時は死にに行くような物だってオタクを止めたよな? なんで俺の話を無視した」


「誰かが残る必要があったから、俺が殿勤めようと……いでっ!?」


話の途中で、額に衝撃が走る。ロビンがデコピンをしたようだ。案外痛い。


「オタクなぁ……! オタクはどちらかというと弱い方だっただろ!? なんで突っ込んだ! 目を潰して逃げるとかあっただろう!?」


お前……ならこっちにも言いたいことがあるんだよ!


「……じゃあ聞くけど、あいつに目潰しが効くようなやつに見えた? 効いたとして、逃げたとしても追ってくる、そう感じなかった!? なら弱くても誰かが殿勤めるしかねぇだろ!」


互いに胸ぐらを掴み合い、相手の目を見て叫ぶように言い合う。


「あぁもうこいつ分かってねぇな……! 俺が言いてぇのは、なんで誰も頼らなかったってことだ! オタクにとってそんなに俺は信用できねぇか!?」


……あぁ、なんだ。そういうことか。何故戦えたのに、俺を頼らなかった。そういうことを言いたいのか。そう理解した途端、頭にあった苛立ちはスッと消えていった。


「……まさかお前、頼って欲しかったのか?」


「あぁそうだよ! あんなんに一人で挑むのは自殺行為だ、ならせめて少しでも生き残る確率を上げるべきだ!」


こいつ……完全に本心から言ってるのか……? ほんの少し一緒に過ごしただけだろ……?


底なしのお人好しか……?


「……悪かった。あのときは、どうやったら生き残れるか、それで頭が一杯だったんだ。言い訳にしかならないけど」


「理解してもらえたんならいい。俺とお嬢はな。雛はどうなるか分からねぇわ。ぼこぼこにされるんじゃねぇか?」


「……覚悟しておこう。レイン、お前も適当に時間潰しておいて」


「分かった」


俺の言葉を聞き、ティナ達が向かった方向に歩いていく。……本当に歩いていきやがったあいつ。少しは残ってやろうとかないのか。ないよね。あ、殴られた部分に湿布的な物を貼っておこう。


「よしいくぞー、覚悟はできたな?」


「最初から出来てる、けど実行に移すのは怖い」


「はいどーん」


うわぁぁぁぁぁ!! こいつやりやがった家の中に押し込みやがった!! しかもこの感じ蹴りじゃねえか!


「まだ怒ってるよなお前……?」


「なーんのことですかー?」


すっとぼけてやがる……今度寒い所に向かうことになったら氷水の所に放り込んでやる……


「雛ー、客だぞー」


「お客さんですか? 来客の予定はなかったと思うんですけ……ど……」


こちらを見た雛が、硬直した。あり得ない物を見たかのようだ。黒かった髪は白く変色している。


「……あー、何て言うかさ。生きてます! 何度死ぬかと思ったけど、何とか生き残ってます!」


……自分で言った後で言うのもなんだけど、これはないな。幾ら何でもこれはないぞ……


「……本当に……光牙さん?」


「え? あぁはい、光牙です」


「左腕はどうしたんです……? やはりあの龍との戦いで……!」


「いえ、その後です。左腕は魔力を暴走させた際に吹き飛びました」


俺の言葉を聞いた後、俯いてします。握られた手に力がこもるのが分かる。


「あなたって本当……!! 無茶ばかりしてぇ!!」


次の瞬間、頬に衝撃が走り、倒れた俺は床に後頭部を打ち付けた。ヒリヒリする範囲から、平手打ちを受けたようだ。そのまま、雛は全身を使い、逃げられないように床に押さえつけられる。


……これ端から見たらヤバい絵面じゃない? とかふざけた思考が出たのは内緒。


「いいですか!? 無茶するのは構いません、けど一人で突撃するのは止めてください! それだけ死ぬ可能性が高まるんですから!」


俺の顔に、雛の目から涙がポロポロ落ちてくる。


……滅茶苦茶心配してくれてる……? 正直、俺がしてきたことそんなにいいことしてないぞ……?


……うーん、正直分からん! 取り敢えず……


この状況……どうすれば……















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ