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旅は道連れ。

「……んぁ?」


何故か、唐突に目が覚めた。……この感じ、ボケよりの人が来た感じか……? なに言ってるんだ俺。


「どれぐらい寝てたんだろうか……まだ頭がボーッとする……もう少し寝てたいんだ……けど……」


上半身だけ起こし、周りを見渡すと、こちらを睨みつけるあの黒の龍人が目に入ってきた。……結構怒ってらっしゃる。縛られたままだけど。


「……なんか用? まだ寝たいんだけど」


「……一つだけ聞かせろ。何故止めをささなかった。意識を取り戻した後にお前を殺すことも考えられた筈だが?」


「何、もしかして殺して欲しかった? 生憎、人殺しなんてしたかないんだよ。例え相手がどんなに化け物だろうと。こいつは殺されても仕方ない、なんて思われるような奴……もしくは知り合いに手を出したやつに牙を剥けばいい」


結局のところ、自分は甘いのだ。ならば知り合いに手を出した敵には容赦せず、その喉元に牙を突き立てればいい。それだけの事だった。


この人は例外で、情報元になってもらえそうだし。この人が言う《あの方》に負けて戻った、なんて言ったらその場で殺されるんじゃなかろうかという思いもある。


「……そうか……このような魔物か人か中途半端な奴にも情をかける輩が少数ながらまだいるとは……」


……なんか勘違いなされてる気がするけど、いいや。そういうことにしておこう。こっちは情報さえ分かればいいし。


「で、聞きたいんだけど。あの方って誰だ? かなりヤバイ奴だとは分かるんだけど」


「……教えると思うか?」


「そういう奴って大体力こそ全て的なやつでしょ? あんた戻った所で殺s」


「黙れ!! あの方はそんな方ではない……!! 我々、龍人が人に受ける迫害を日々何とかしようとしているのだ!」


……あれ、ということは……? その方は龍人と人の関係の改善を測っているのか? なら何でここまで話が酷くなる? そういう思想の龍人がいるなら、少しでも龍人の扱いは良くなっている筈だ。……まさか……


「なぁ、あんたって人間の城を攻め落としたり、国を襲ったりしたか?」


話を黙って聞いていたレインが、ここで口を開いた。……多分、考えていることは同じだろう。そして、返ってくる答えも。


「あぁ、何回かな。そこの国は我らの望みの妨げになる、等の理由で。……可笑しい、とは思ったのだがな」


俺は頭を抱え、レインは眉間を抑えた。


思った通りだ……こいつ、騙されたな。


「例えば、どんな点が可笑しいと思ったんだ? それと……何て言うんだ、そういった会議には向かったと、聞いたことはあったのか?」


「妨げになる、と言われた割には兵力もそこまで高くはなく、領土も広くなかったのだ。それに、勇者……と言うのだろうな、魔王を倒す者は、そう言った気配も感じなかった……それと、私達にはあの方の予定を知ることは出来ない。本当に近しい者しか予定を話さないぞ」


「……騙されたんじゃないか? あんた」


そうとしか考えられない。大体、会議に出ている様子を知っているのが本当に近しい者だけって、怪しいにも程がある。……怪しすぎるだろ、幾らなんでも! 少しは疑わねぇのかお前達!


「……今ならそう考えられるよ。何か頭の中のモヤモヤが消えて、話しながら過去を振り返ってみれば、自分でも納得できない部分がある。……何故、人との関係改善のために、人の国を滅ぼさせる奴がどこにいる……!!」


……本当に偶然である。まさか洗脳とかしているとは。本心で言っているようにしか感じなかったぞ。死んでたまるか、その一心で攻撃し続けたけど、そんなこともあるんだな。


……というか、負けたら自分の尖兵じゃないから解けた、なんてことあり得るかもな……始末屋、的な奴が送り込まれるかもしれない。


「……取り敢えず、一緒に来るか? あんたも行くところがない筈だ」


おっと、考え込み過ぎたか。レインが俺の変わりに昨日の結論を言ってくれた。


「……いいのか? もう一人いた筈だが、そいつの同意は得たのか?」


「リーネはまだ寝てるんだよ、よっぽど疲れてるらしくてな」


……団長とは話す程度で、あまり親しくなかった俺でも結構来てる物があるんだ、俺より幼く、俺より親しかったリーネの心的ダメージは大きいだろう。俺にはその傷は癒せない。


……癒すのには、時間がいるだろう。俺は専門家じゃないし、よく分からないことの方が多い。


……歯がゆい思いって、こんな感じなんだと、初めて知った。


「そうか……」


「それでどうする? 来るか、来ないか。俺達はあんたの判断を尊重する」


「……一緒に行こう。どうせあそこに戻ってもお前の言う通り、殺されるだけだ。……信じたくないがな」


「そうか。なら自己紹介だな。白天光牙。宜しく」


「俺はレイン。一応治療魔法を使える。寝てるのはリーネだ」


「ティナ・スケイルだ、これから宜しく頼む」


……さてさて、仲間も増えた……けど、何日かかるかなぁ……目的地に着くまで、着いたとしても、質問責めだろうなぁ……特に腕の件で。はぁ……まぁ、自業自得なんだけどね。























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