森の中の激突。
すみません、受験関係で遅くなりました!暫く不定期になりそうです!
…元からだったっけ?
「…つーか、広すぎんだよこの森。…そういやあまり絡まれるのが嫌で一人称『僕』にしてきたけど、俺の方が気が楽だな…こんな状況でよくそんな事考えてられるな俺…」
ブツブツと小さな声で一人言を言いながら、昼でも暗い森の中を歩み続ける。いつかは出られると考えながら。
「しかし、問題なのはこの辺の魔物だ。マトモな戦いにならないんだよな…どうしたものか…」
そう、前に戦った雷熊といい、今の自分ではまともに挑めば勝ち目は薄い。頭を使った戦い方をしよう物なら、その策を破られ、重い攻撃を食らう。元々は高校生だ、足りない知恵で中途半端な策を練ったとしても、自分のいた世界の常識が当てはまらないのではあまり効果は望めないだろう。
「…これなら、もっと日本史とか世界史とかの軍司が行った策とか、調べればよかったかなぁ…今言っても、遅いけど。多分この頭じゃ次の日まで残ってるか怪しいし」
…なんだろう、自分で言ってて悲しくなってきた。そりゃ俺は頭の出来はあまりよろしくないよ?精々普通レベルだよ。赤髪のせいで滅茶苦茶ガラ悪い人に絡まれて殴られて殴り返して…
「…振り替えると録な事、してねぇな…」
自分のやっていたことが、あまり学生としてはよろしくないということを理解したところで、また草むらからそれぞれ色が違う、三体のコボルトが飛び出て来た。
「…丁度いいね、憂さ晴らしにでもなってくれよ。こちとら色々鬱憤溜まってるんだ!」
その言葉を皮切りにして、三体いるコボルトに向かい駆け出した。
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(まずは囲まれないように、一体ずつ倒す…不安要素は、それぞれ何かしらの能力を持っている可能性があるということ)
赤コボルトの刀による攻撃を防ぎながら、隙あらば剣による一撃を叩き込もうとするが、相手も中々隙を見せてくれない。今のところ防戦一方だ。
「こいつ、中々…!」
「グギャアアアアアア!!」
「うるっせぇぞ、一体ずつ相手してやるから大人しくしてやがれ!」
剣戟の最中、青コボルトが飛びかかりながら棍棒を振り下ろして来るが、赤コボルトを押し退け、青コボルトの攻撃から逃れる。俺という標的を外したその一撃は、地面に振り下ろされ、周囲に土煙が立ち込めた。
「あっ、しまったな…どこにいるか分からないぞ…」
土煙により、視界が悪い状況での三対一…かなり分が悪い。ただ…
「こんな所で、燻ってる訳には行かないよな…!ぐっ、痛…!」
決意を新たに、どこから来るのか構えていた所、足を何か鋭い物で斬られ、痛みによって膝を着く。音の方向を見ると、緑色の何かが見えた。その手には、銀色の物が握られていた。
「なるほど、赤は技量、青はパワー、緑はスピード…分かってきた」
剣を杖代わりに使い、立ち上がる。そろそろ土煙も晴れる頃だ。…そこが狙い目。どれが来ても、斬り捨てる。
そして、土煙が晴れた、その刹那─緑色のコボルトが突っ込んで来た。
「捉えた…ここだ!」
その勢いを利用し、緑コボルトに向かい突きを繰り出すと、刀身が深く突き刺さり、地面に血の花が咲く。まず一体─そう思った時には、自身の体が横からの衝撃により吹き飛ばされ、岩に激突させられた。
「がはっ…!!波状攻撃か…!?あってんのか知らねぇけど、自分の命とか考えてないのかこいつら…!」
相手の、自分の視界の悪さによるアドバンテージは消えた。しかし、こちらは先程、岩に叩きつけられた衝撃で頭がグラグラし、まともに動ける状態ではない。また、足の切り傷により、踏ん張る事も出来ない…状況はかなり悪化してしまっていた。
「こいつは…まずいな…」
その言葉を聞きとったのかは分からないが、二体のコボルトは同時にこちらに駆け出して来た。
「くっそ…!逃げようにも、足のダメージが…ぐっ、しまっ…ごはっ!?」
二体の連携による攻撃を何とか防いでいたものの、やはり手数で押されはじめ、赤コボルトの攻撃で怯んだ所に、棍棒の一撃で何本か木々を巻き込みながら吹き飛ばされる。
「…うぐっ…本格的に…まずいな…」
ゆっくりと近づいて来る二体のコボルトに対し、口の中の血を吐き出し、折れた木の幹を掴み立ち上がり、剣を構え、コボルトに向かい駆け出した。