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決して出会ってはいけない物。

緑の草原を、白い狼が駆ける。


「こ、光牙さん!?ちょ、ちょっとはやいと思うんですが…!?」


狼の背で、私は叫んだのですが、前に座る人の様子がおかしくて…


「光牙さん…?」


「…え、何ですか?少し意識が飛んでて…最初の時点で…」


…本当に、大丈夫なんだろうか…?


──────────────────────


あ、これまずい…


「ちょっ、ちょっと待って…揺れて吐き気が…うっ…!」


白焔を叩き、その場に止まってもらう。止まった瞬間、僕の体は転がり落ちた。


「あんた乗り物に弱いのかよ!?生き物だけど!なんで提案した!?」


「わ、忘れてた…」


昔から、乗り物に乗るとすぐに吐き気に襲われ、景色を楽しむなんて余裕もなかった。


…すぐに下向いてたからね!


「つうか本当に大丈夫か…?顔真っ青だぞ?」


「あー…ちょい休めばいいや。慣れたし、次からは酔わないだろうから」


「あんたの体質本当どうなってんだ…」


「うるさい、こっちが知りたい位だ」


「お嬢たちはぐっすり寝てるし、今襲われたらまずいな…敵さんが来ませんように」


あー…まずい、やっぱ眠くなるんだ…ちょっと…任せたよ…


──────────────────────


「…ん、よく寝た…こういったのんびりした日を、死ぬ前に味わえればなぁ…なんで喧嘩売ってくるんだか。なーんにもしてないのに…赤髪か。やっぱ赤髪のせいか…?」


白焔の毛並みはとても心地がよく、横になるとすぐ眠くなってしまう。本当、何かそういった類いの魔法でもかかってるのかな?…待って?


「…移動してる?」


「お、目覚めたか!わりぃな、目覚めるまで待ってられなかった!…あぶねぇ!?」


目に入って来たのは、ロビンの顔と、それを掠めて飛んで行く光る何かだった。…魔力を持っている。矢…?違う。あれよりもっと…殺意を感じる。


「何かに追われてる…?」


と後ろを向くと、巨大な三つ首の龍がこちらに何かを飛ばしながら追ってきていた。


「龍?あれは龍人が…?」


「違います…私達は、一部を龍に変化させる事は出来ても、龍その物になることはできません…ぐっ…!」


その声の方向を向くと、酷く流血している腕を抑えている雛がいた。


「雛さん!?大丈夫ですか!?」


「ええ、レーテさんの魔法障壁で、大分マシになりました…それでも、奴はそれを容易く破り、腕の一振りで…レーテさんも…くっ…」


「雛さん!」


どうやら、気を失っただけみたいだ…しかし、レーテさんの防御があったのに、その防御を破り、レーテを気絶させるほどの腕力…


「…なんだよあれ…!化け物じゃねぇか!?逃げ切れるか…?難しそうだ」


現に、白焔の速度も落ちて来ている。…こうなったら…


少しでも誰かが時間を稼ぐしかない!


「ロビン…」


「ああ!?なんだよこんな時に!…おい、まさかあれを一人で相手するってのか!?自殺志願者かてめぇは!?」


そういうとロビンは、僕の胸ぐらを掴んだ。


「いいか、あれは暴虐の化身とか、そういう風に言われてる類いの魔物とは違う化け物だ!それを一人で相手する?もって10秒程度だ!そんなんで逃げられると思うのか!?」


「分かってるよ、無茶なんて事は…でもさ、誰も戻りませんでしたーじゃ、てんで話にならないんだ。だからさ、ロビン…寝ててくれ」


ロビンの腹に、鈍く重い衝撃が走り、意識を刈り取った。…本当に、ごめん…


「白焔、そのまま真っ直ぐ走り続けろ。絶対に振り返ったりするんじゃないよ?」


白焔は、その言葉に対し、頷きで返してくれた。


「いい子だ!」


その言葉と同時に、三つ首の前に飛び出し、炎による目潰しで視界を潰し、眉間に剣を突き刺す。


「さて…暴虐の嵐…暫く遊んでもらうぞ!!」












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