休息。
「うーんとさ…儂思ったんじゃけどさ…少し言っていいかの?…お主って結構運悪い?大丈夫?」
「…生まれてこの方、幸運に恵まれた人なんて糞食らえだって思ってたよ」
「おまけに、お主が連れてきたのは龍人の他にも吸血鬼と狼人とは…」
あれ?なんかまずいのかな…?まさか…
「龍人以外は住まわせる気はない…と?」
「いんや、そういうことじゃないぞい?ただの…雛の家がまーた狭くなるのぉ…改築でもするかの?」
「おいこら耄碌じいさん、さらに広くすんじゃねぇよ、落ち着かねぇよ」
雛の家って、ただでさえ広いんだぞ…簡単に言ったら神社サイズ。あれをさらに大きくするとか…って僕が来る前はあの大きさの家に一人って…
「おーい、どうした?まーた固まっとるぞ?これだから最近の若いのは…頭凝り固まっとるからのぉ…」
「真面目に考えさせろよ本当…」
「そういやなんか敬語がないがどうした?」
「いや、なんか敬語使うのがあれになってきた…威厳ないし」
「おい表出ろや、しばきまわしてやる。これでも気にしとるんじゃぞ!」
気にしてらっしゃった!?長老なのに威厳がないのを気にしてらっしゃった!?
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「…もうあいつだけでいいんじゃないかな…いってぇ…」
あの後、顔面をタコ殴りにされたがそんなに痛く…ないわけないでしょう…弱点突いてくるから余計に質悪いんだよ…こっちは手出ししにくいし…
「お、どうした光牙。そんなボロボロでよ」
「あぁ、ちょっと長老に…何で狼が喋ってるんだ…?魔物か…?」
川原に座っていると、狼が近付いてきた…いや、ホントに何で?狼…やっといた方がいいのか…?
「おいおい、俺だよ、ロビンだ。子供の相手はこっちの方が楽だしな…とはいえ、少し逃げてきた訳だが」
「なんだ、ロビンか…よし、その場所教えろ。子供のとこまで連れてってやる」
「おい待て殺す気か」
あーあー聞こえない。そこで狼を抱え、子供が集まってる所まで飛んで行こうとしたが…
「どれだけ抵抗するんだお前は…!?いい加減に楽になれ!もうほとんど浮いてるんだよ!」
「嫌だぁぁぁ!俺はまだこの草の柔らかさを堪能するんだぁぁ!子供の相手なんてしてたら毛もごわごわになっちまうだろぉぉ!?」
じゃあ何でその姿を選んだし!?そんなの選んだら子供達にもみくちゃにされるに決まってるだろうが!?
「あぁもう、行くぞ!お前が子供のおもちゃになるんだよコラッ!」
「ふざっけんなってあぁ!?…終わった…」
そんなロビンを抱えながら、子供達の元に到着した。
「あれ?狼さん連れてるよ?」
「ほんとだー!」
「あぁ、この狼さんが逃げてきたから連れてきたぞ?今度は逃がさないようにね」
そう言って、僕は抱えていた狼を地面に下ろすと、子供達はすぐに狼状態のロビンに集まりもみくちゃにし始めた。
(やっべぇ…こいつ今本当いい笑顔してやがる…)
「ありがとー、お兄さん!」
「また逃げたらお願いねー!」
「ははは、逃がさないようにしてくれって言っただろ?」
と言いながら、僕は大笑いを空に響かせながら飛び立った。僕は覚えていないが、家にロビンが帰って来た際には、一発で体が宙に舞ったらしい。やっぱ鍛えてるのかなぁ…もうロビンと戦いたくないけどなぁ…
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「そういや、ここら辺を出るのっていつなんだ?」
「…明日。ゆっくり釣りを楽しんでいようよ」
「そうするか…」
僕が宙を舞ったらしい次の日、僕はロビンを連れて川に来た。まぁ、釣りをしようと…ね。最初は二人のつもりだったんだけど…
「どうです?釣れそうですか?」
「釣れたら私達が捌くわ」
途中でバレ、結局全員で行動することになった。
「…お嬢達は何で分かったんだろうな」
「勘じゃない?それとお嬢って何さ?前も言ってたけど」
「あ?あー…このなりで執事やってましたーって言ったら信じるか?」
「信じないけど分かったよ」
ロビンが執事で、レーテがお嬢様か…レーテは納得だけど、ロビンは…
…うん、失礼だけど、似合わないとしか…
「ま、今も拾われた身だからこうやって行動してるんだけどな…主従とかじゃねぇぞ?」
「そうなんだ…あ、かかった」
「キツそうなら手伝うぜー」
その後、二人揃って水の中に引き込まれて大笑いした。にしてもあの魚、デカかったなぁ…