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決着。

「まーた、仕切り直しか…つっても、互いに限界は当の昔に越えちまってるよな…」


「だろうね…体が軋む感じがするし、視界がぐらぐらする…これは本当にキツイな…」


先程、仕切り直しと言ったが、もう既にお互いの限界は迎えてしまっている。


相手は肉体が、こちらは魔力がギリギリ。しかし…


「「てめぇには負けられないよな」」


その言葉と共に、互いに加速し駆け出し、蹴りが交差した。


──────────────────────


一方、その頃…雛の戦闘は…


「はぁ…はぁ…」


「だから言ったでしょう?あなたは私には勝てない…力量がそもそも違い過ぎるのよ」


私は今、ボロボロになり、地面に膝を着いているのに対し、あちらは余裕の表情を崩さない。


「そういえば、名前を聞いてなかったわね…何て言うの?教えてちょうだい、あなたの名前を。あっちの男の子の方は、あなたが言っていたから知っているけれど…」


光牙さんが落ちて行った穴を指差しながら、私の名前を聞いて来る…さすがに、ここまでの差があるとは思わなかった。


「…天羽雛です」


「…以外。案外簡単に話してくれるのね…こういうのは大体、最後の最後まで教えてくれない物だと思っていたのだけど…強情そうだし」


「…そんなにですか?…」


うーん…なんか調子が狂います…何かとても友好的だし…あ、勝てないなら、情報を少しでも…


「あなたの名前は?こちらが答えたんですから、そちらも教えて下さいよ」


「あら?そういえば言ってなかったわね…レーテ・ブライトナーよ。…まぁ通りすがりの王女様とでも…ってそのうわぁって顔は止めてちょうだい?自分でもないわぁって思ったもの!ちょっとした冗談よ!」


「…通りすがりの王女サマ…ないですね…盗賊やってるじゃないですか」


「あら、私たちは傭兵崩れよ?お金払ってもらって、手伝いしてるだけ…だからあなた達の里には危害を加えるつもりはなかったのだけど…」


え?ちょっと待って?なんて言いましたこの人?じゃあ…


「…今の意味は?」


「必死になってるあなたを見たかったのと、面白そうだという興味本位で吹っ掛けて見たわ。実際面白い事になってるみたいだけど」


すみません長老…旅は寄り道も醍醐味かもしれないですけど…苦手な感じがする人と出会ってしまった場合はどうすれば…


《笑えばいいと思うぞい?》


えっ、何処から!?


「さぁ、再開するわよ?これぐらい捌いてみせて?」


魔法陣がレーテの頭上に数十個ほど展開され、そこから魔力弾とはいえない威力の物が連続で射出され、私に襲いかかる。


「くっ…こんな物!」


ちょっと…これ以上はもたないかもしれない!


──────────────────────


「何か…上の方で何かあった気がする…」


「電波系かオタクは?」


「いや違うけどさ…」


こんな会話をしながらだが、互いに常人が目に捉える事は難しい速度での移動をしながらの格闘戦の途中です。


「ほら、足元お留守だぜ!」


「危ないだろが!」


ナイフが足に向けて投擲され、それを龍の鱗で防ぐが、足から血が垂れて来た。


「ぐっ…なんでだ…!?」


「やっぱなぁ…あんな回復の仕方じゃ、体が完全に回復するわけねぇ。無理矢理、表面上だけ治しただけだろうよ」


そういやあの炎、どうやって出したんだろ?自分の意思で出した訳ではないんだよなぁ…もう一度出せれば…って訳にもいかないか…


「仕方ないな…」


僕は、剣を鞘から引き抜いて構え、ロビンの攻撃を待つ。ロビンはそれを見て、両手に短刀を持ち、突っ込んで来ると同時に、両手それぞれの短刀を連続で振るって来る。どうやら攻撃をさせないつもりのようだ。


「ほらほら!んな剣じゃお前の早さについて行けねぇだろ!」


確かに普通の剣では、短刀の連続攻撃を避けるので精一杯だろう。だがこの剣は違う。


「生憎、この剣は軽めでね!僕みたいな初心者でも速く振れるんだよ!」


僕は短刀の連続攻撃を全て往なし、袈裟斬りに振るう


普通の剣では、初心者が二本の短刀の連続攻撃を防ぐ事は難しいだろう。しかしこの剣、紅蓮は違う。その重そうな見た目とは違い、僕が持った時だけ異様なほど軽くなる。それに相まって、龍人達は動体視力、嗅覚、聴覚を自分の意思で強化できるらしく、元から僕は動体視力が高いので、その高い動体視力をさらに強化したからこそ出来る芸当だった。


でも…


「…あのさ、オタクの戦闘見られてたって忘れてない?その剣、他のやつには見た目通りのダメージを与えるんだろうが…剣相手になんも対策しないわけねぇだろ!」


「なっ!?ガハッ!」


僕の剣は浅く肩口を斬った程度で止まり、それに驚いている所を腹部に強烈な蹴りを受けて壁に吹き飛ばされたうえ、紅蓮が手から離れてしまった。


「そら、おまけだ。チェックか?」


ナイフが顔に向かい飛来する。視界が揺れて、力が入らない…脳震盪でも起こしたかな…


…だけど…


「…まだ…だよ!」


飛来してきたナイフを手の平で止める。勿論、深く刺さり、手の甲まで突き刺さる。それを引き抜き、地面を赤く自分の血で染めた後、紅蓮を拾いながら地面を強く蹴って走り出す。


「くっ…クハハハ!いいぞてめぇ、最高に楽しめる喧嘩だぜ!」


「やっぱあんた戦闘狂かよ!道理でどんどん口の端が吊り上がってくわけだよ!」


ちくしょう、めんどくさいタイプの戦闘狂だよ!


そんな事を考えながら剣戟の速度は上がっていき、希に蹴りを交えながらの高速戦闘となっていた。


「そら、どうした!!まだまだいけるだろ!」


「ちっくしょ…これで、どうだぁっ!!」


僕はロビンの短刀の攻撃を往なしながら、ロビンの肩口に剣を乗せ、全力で魔力を込めた一閃を放った。当然、魔力が枯渇寸前なのにそんな事をすれば、一気に無くなってしまい、目眩がする。耐えきれずに地面に尻餅をついてしまう。


「クハッ…てめえ面白いよ…またやれたらいいな…」


そういうと、血を大量に流しながら仰向けに倒れた。


「二度とゴメンだ、クソッタレが…!」







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