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魔力の謎。

 エラは雛と話の後、少ししてから見つかった。日が傾き始めていたが、日が暮れる前に見つかったのは有り難かった。


 「エラ、ちょっと話があるんだけど……」


 「ん、どうした? そろそろここを発つということなら、心の準備をするが」


 「あー……大体そういうことです。後は無茶苦茶やってすみません、ということを」


 ここでは本当に無茶苦茶をし過ぎた。余計な被害を出したのもそうだし、自制が出来ずに余計な種を撒いたのもだ。


 ここを立ち去る時に、ミナスを探しに行かなくては。せめて矛先がここの人に向かないように、少しでも良くなるように。


 「……あぁ……あれか。その件なんだが……皆見ていたんだ。石投げられてた辺りから」


 「えっ……待って、どこにいたのさ」


 「隠蔽魔法で。あの最後まで残った奴だけは気付いてたようだが……こちらも皆、殺気立っていたからな……後一歩のところで、君が大立ち回りをしてくれたお陰で鎮静されたんだよ。皆見物に回ったからな。いや、凄まじい歓声だった」


 ……雛に伝わるのが早かったのも、そのせいか。まぁ、悪いことでもないけれど……


 変な視線を向けられてたように感じたのは見てたから何だなぁ……通りでドンドン奴の攻撃がエスカレートしてく訳だよ。見られてんのに負けたくないわな……


 「……隠蔽って、どうしたら見破れるようになるんですかね……」


 「まず慣れろ、って言われるな。よく見ればどこかブレているから、そこを斬るなり撃つなりしろと子供の頃からよく言われてきたよ」


 昔の記憶を引っ張り出し、当時を思い出しながらエラは笑っていた。


 しかし、解決方法は結局力押しかよっ! ブレが全く見えないようならなす術なく殺されろとでも……? 厳しいなぁ全く。


 「難しいって人はどうすれば……?」


 「怪しい場所には行かないようにしろ、だな」


 無理だった。こうなると、早く隠蔽魔法に慣れることが重要になってくるな……しかし、この世界の魔法は……なんというか、思っていたよりもルールが緩い……?


 人一人でも簡単に作れる上、イメージがしっかり出来ていれば使える。少し……いや、とても緩過ぎるように感じる。


 「……まぁ、そういう世界があってもいいだろう。魔力自体は確かに消費されているし」


 止めよう。この世界について分かっていることは少ないし、自分一人で考えた所で分かる訳がない。


 まず世界というものは見方一つで変わるのだから、一人の見方だけで答えに辿り着くなど不可能だ。


 「取り敢えず、荷物を詰めとこう。詰めること自体は簡単だし。便利だけど、これに頼り過ぎないようにしないと。便利なものに慣れると後々無くした時がキツイ……」


 「……取り敢えず、考えを纏めるにしても頭の中で纏めた方がいいぞ? 全部口に出してしまっているからな」


 「……了解」


 会話の途中で、自分の考えに没頭してしまっていたようだ。これも悪い癖だ、少しずつ直していくことにしよう。


 その後、エラと会話を暫くした。魔力の運用についてや、怪我の適切な治療法等についてを重点的にし、適当な所で切り上げると、街中を歩いて眺めながら天幕へ戻ることにした。


─────────────────────────


 「でも、不思議だよなぁ……あんな小さな子でも魔法を使えるんだから」


 天幕に戻る途中、掌から水を出し飲水にしている子を見かけた。体に害も無いようなのだが、やはり不思議なことには変わりない。


 使った分の魔力はどうなるのだろう。戻る……としても、全て戻る訳ではないだろう。雀の涙程度の量なのか、全く戻らないのか。歩きながら考えていたが、全く分からない。


 「……戻らないと仮定しておこう……然るべき時に分かればいいんだ」


 自分の世界には創作の類でしか存在しなかった、つまり全く見たこともなかった、魔力という概念。


 人が持つだけでなく、空気中にもある物。これを理解しきるには、恐らく……一生かけても理解出来ないのだろう。


 「それなら、理解は出来ないけど使えるから利用するというスタンスでいいかもしれない。今、理解出来ないものを理解するには……そりゃまぁ、とんでもない時間がかかるし」


 魔力という物の理解を一旦諦め、天幕の中に入ると、沢山ある荷物を指輪へ収納していく。大きさによって様々な抵抗があり、全て収納する頃には日が完全に沈んでいた。


 「もう真っ暗だなぁ……仕方ない、寝て明日に備えよう。ちょっと星を見てから、眠るとしようか……」


 辺りはすっかり暗くなり、天幕の外に出て星空を少し見上げている。流れ星の一つも見つけられなかったが唐突に眠気に襲われ、天幕に戻った。


 魔力の謎について少し考えてみたが、次第に眠気が強くなっていき、録な結論も出せないまま眠りについた。

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