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合流。

「オーケー、何がしたいのかは分かった。ただ守るって何から? 魔物なら何とかなると思うけど、冒険者いるし」


「そう思うだろう? ここに来る魔物は量が多いんだ。前線に近いが故かは知らないがな……」


なるほど、量で攻められているのか。それなら……ちょっと待て、つまり……


「町の中入ってんじゃねぇかよ!?」


「そういうことだ、だからボロボロなんだここ。まだ地下の方がマトモな建物が多い」


なんてこったい。そういう時は亜人達が外に出てくるのか……あれ? ならあの時布被る必要なかったのか?


「……でもあんたらでなんとかなってるなら俺たちを呼ぶ必要……そうだ雛! あんたら雛をどうした!?」


脚に力が入らなかったのが嘘のように立ち上がり、女性に食ってかかろうとした瞬間に男に押さえつけられ、地面に倒れる。


「あぐっ……!! 怪我させてねぇだろうな!!」


押さえられながらも、立ち上がろうと抵抗をした。しかし男の力が強く、骨が軋む。ここで抵抗しないでいつするんだ。


「まぁ待て落ち着け。あの子なら無事だよ、少し眠ってもらっている」


「……本当だな?」


「案内してやることもできるが、どうする?」


「……この鬼の形相しているおっさんを何とかしてくれたら、案内を受けられるんだけど」


そう言った途端、女性は男に鋭い目を向けた。その動作だけで男はたじろぎ、俺から手を離した。


「……すまないね、レオニが」


「別にいい、上の人物を守ることは当たり前だ。取り敢えず拘束されたままの方がいいのか?」


「そうだね、一応そうしてくれると助かる」


そこで一旦話を終え、ふらふらと縛られたまま立ち上がり、前を向く。


「……一応、倒れるかもしれないからその時は頼む」


「分かっているさ、その時はレオニが支える」


男が驚いたような顔をして女性に顔を向け、その後ゆっくりとこちらと顔を見合わせた……そんな嫌そうな顔しなくても。俺だってバカスカ殴ったやつに支えられるのなんて嫌だわ。


「よし、じゃあ行こうか。着いてきてくれ」


女性が歩き出し、その後にレオニと呼ばれた男が歩き出しその後に続く。ちらりと隣を見ると、レオニの顔は相変わらず苦いものだった。


おい、そんなに嫌か。敵に触れるのがそんなに嫌なら武器使えよ、格闘じゃなくて。


──────────────────


拘束されたまま、続いて歩き続ける。正直、言いたいことがある。


「見せ物じゃないんだぞ……」


通りを歩いているから、すごく人の視線を集めている。普通に賑わっていて、大きな国に密入国したような気分にさせられる。子供に至ってはこちらを何度か見ながらボソボソと何かを話し合っている始末だ。


「すまない、外から来た人は始めてなんだ。子供達は……まぁ、始めてかもな、ミナス以外では」


「拘束されてるから悪人とでも思われてそうだなぁ、ひでぇ話だよ全く」


子供が走っているのを、歩きながら見ていると、見覚えのある尻尾が目に入った。


「あ……? なぁ、あの白い尻尾の……」


「……あぁ、なるほど。君は彼女に誘導されたんだね。悪戯も程々にしろとあれほど言っているのに」


「まず彼処に入ることを禁じた方がいいだろう。俺が話を聞くタイプじゃなかったら殺されてたかもしれないんだぞ」


「それがなぁ……これ、彼女の作戦なんだよ、誘い込んで倒すっていうのは。レオニが倒すか、針で撃ち抜くか。若しくはトラップで潰すかの三択だ。危険だって言っているんだがね……」


……これだけ人が戦えるのが三人しかいない? 少し……危なくないだろうか。 もしも誰か一人でも倒れたら……


「それに戦えるのは三人だけじゃない。大人は勿論、一定の年齢……17歳位だろうか。その年齢になった子供も、もしもの時は駆り出される……大人になれずに死んでいく子や、子供の顔を見れずに死んでしまう父親も沢山いる」


「……なんとかならないのか。子供が死ぬのは……少し気分が悪い」


「君が言うのかい? 君もまだ子供じゃないか……」


「……そうですね」


そんな会話を終えてからは、口を開くこともなく歩き続けた。


──────────────────────


「よー、久しぶりだね雛」


「そうですね、一時間程しか経ってないですけど」


雛と合流し、拘束を解いてもらった。一度折れた腕を何度か動かし、問題ないことを確認する。


「……腕も問題ないな。連絡手段とか覚えた方が良さそうだね、分断されたりした時に」


「折られるのも相当な問題なんですが……?」


そこは気にしないで欲しい。治るのもちょっと速いんだから、気にする程でもないし。


「さて、全員揃ったことだし……自己紹介と行こうか。私はエラだ。一応、有事の際の指揮をすることになっている。横の大きいのはレオニ、君を殴り倒したのは彼だ」


自己紹介をしてもらう際、レオニの表情は嫌悪感……に近いものがあった。名前を呼ばれた途端、こちらを睨み唸り声を上げて歩いていってしまった。


「……露骨に嫌いですって態度で伝えてきやがるな……そんなに憎いか、余所者が。まぁいいや、俺は白天光牙、こっちが」


「天羽雛と言います」


「うむ、二人ともよろしく頼む……レオニにはしっかり言っておくけれど、あまり期待しない方がいい。彼の村は龍人に滅ぼされたからな……」


……うーむ、かなり面倒そう……

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