対決。
「まぁその前に、こっちの目的も聞いてくれや。駄目か?駄目なら…」
「まだなんも「交渉決裂っと」」
床下が開き、僕の体が落下していく感覚に襲われる。…やべ、冷静に言ってる場合じゃないぞ!すぐに翼を…
「おっと、一緒に遊ぼうって話だろうが。逃げるなんて真似すんなよ」
「ぐっ!?」
背中に飛び乗られ、深い穴に二人が落ちて行く。
「光牙さん!?」
「私たちは…面倒ね、待ってましょう。私はそんな事するなんて思ってもないし、勝てないわ」
「…あ、あれぇ…?」
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待って、どれだけ深いのこの穴!?結構落ちてるよね!?全然底が見えないんだけど!?
「ほらほらどーすんのぉ?このまま落っこちたらお前が先に死ぬぞー?」
くっそこの飄々とした感じ…!
「むかつくんだ…よっ!」
体勢を整え、背中から壁に体当たりする。勿論、その間にいる盗賊のボス…は少なくはないダメージを受けるはずだ…ったんだけど…
「おっと、あぶねぇな」
「猿かこいつ!?」
壁を蹴り、そのまま勢いを利用して投げられた。床に叩きつけられ、息が詰まる。
「ゲホッ…ついでになんて馬鹿力…」
「そりゃ最初はこの身軽さだけでここまで上り詰めたしな」
「簡単に成り上がってんなおい」
何?じゃあこいつ以外そんなに強くなかったの?それでも最初結構…ってあれは僕があまり戦おうって気持ちじゃなかったからか…そりゃそうか、殺す気でかかる方が強いに決まってる。
「じゃあ行くぜ?ロビン・チェイサーだ。覚えなくてもいいぜ?…どうせここで終わりだしな」
投げナイフが人体の急所を狙い、飛来するが、その程度なら。
「防げないなんて事はない!」
蹴りなどでナイフの軌道を反らし、ナイフを一つ掴み、切りかかる。
「やっぱ、これぐらいはしてもらわなきゃなぁ…楽しめねぇよ」
袖からナイフを一振り出し、防がれる。その後、顎に衝撃が走り、体が宙に舞う。
どうやら、顎を蹴りあげられたみたいだ。また背中に衝撃が走る。
「おいおい、いくらなんでも弱くねえか?もっと楽しもうぜ…!」
足を下ろしながらこちらに話しかけて来る。顔から余裕の表情は消えていない。
…舐められてる。その余裕顔、歪ませてやらなきゃな。
「ふっ!!」
ナイフを逆手に持ち、地面を蹴って駆ける。
「アンタの攻撃は俺には届かないって…」
「その慢心が隙を作るんだよ、ドアホが!」
「がっ!?」
防がれる直前、石を投げつけ、避けた所に蹴りをおみまいしてやった。蹴られたロビンの体は、かなりの勢いで壁に激突する。
「てめぇ…!人畜無害みたいな顔しやがって…!」
「赤目赤髪のせいで不良に絡まれまくったわ!!喧嘩ばっかだっての!」
ちくしょう、毎回毎回絡んで来やがってあの不良ども…!いつか会ったらぼこぼこに…いや会えないのか…
「ふ…?なんだそりゃ、生き物か?まぁいい。結局やることは変わんねぇし」
その会話をしながら、ロビンは体勢を低くしていた…来る。
ドヒュンと音を立てて、ロビンが目の前から消えたかと思うと、腹に痛みが走り、床に膝をつきそうになる。その瞬間、顎への衝撃で体が宙に浮き、頭への衝撃で床に叩きつけられる。
「ぐっ!?何をされたんだ今のは…」
「おーおー、《ハイスピード》やっぱこの魔法はいいねぇ…ん?いやただコンボを叩き込んだだけだ」
「えぐいの考えるよなおい…!」
頭から血を流しているのか、片方の視界が真っ赤に染まっている。…だからなんだよ、問題なく戦える。
膝が笑い、まともに立ち上がれない。…その程度ならなんとかなる。
「じゃあ終わりにするかねぇ…
顔に向け、ドロップキックが飛んで来る。回避は難しい程の距離まで接近している。
あー、また死んだのか…?…いや…こんな所で死ねるかよ!!まだまだやりたい事できてないし!
ドロップキックを押さえ込んで、ナイフをロビンの太ももに突き刺す。悶絶している所を蹴り飛ばし…
「さぁ来いよ。第2ラウンドだ」
指先に灯った炎と…不敵な笑みを浮かべ挑発する。
どんな戦いになるかなぁ…