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家
家というのは、平野部が終わって幾分か山中に入った所にあった。
止めて。ここ。
ん。これか。こりゃあまた結構なお屋敷だな。
行くぞ。
もう、お尻が痛い。
変な歩き方をするな。がに股になっているぞ。
痛い。このバイクみたいのにはもう乗らない。
好きにしろ。歩いて帰れ。
それにしても広いな。
昔からの地主の家柄なのよ。このあたりの山はたぶん全部ここの家のものよ。
ふむ。さて。確かに人気はないなあ。
でしょ。
この草の様子からすると、そもそも人が出入りしている様子がない。
やっぱり、ここには居ないのかなあ。
居ないなら幸いだが。
どうして?
死んでるってことだってあるだろ。
まさか。
人がいなくなったという場合には、死んでる可能性も高い。
やめてよ。
ここまで来たんだ。入ってみよう。
鍵はもってないわよ。
鍵がなければ入ってはいけないという法律でもあるのか。