速ェ!
ハエとかの飛ぶ音嫌ですよね…
プゥーーン、プゥーーン
この嫌な音はハエか…
この男は昨日、車の衝突事故で大怪我を負ってしまって、
病院に入院中だ。そして現在就寝中…のはずが……。
「うるせぇ、うるせぇ!」
ほんとにうるさい奴だ。暗いから姿が見えないが…
プゥーーン、プゥーーン
「うるせぇ!」
確かに居る。
やはり暗くて見えない。月があとちょっとで雲から逃げだそうとしている。
「逃げきろよ!」
逃げきれたら月明かりで分かるはずなのに…
パチン、パチン!
顔の近くで音が鳴る。
プゥーーン、プゥーーン
「クソ、逃げたか…」
あと三秒で雲が逃げるな…
「もう、いい!往復ビンタで…」
3
「死ねぇーー!」
もう何なんだ…?
さっきからハエといい、声といい、怪我で喋れないし、
手も動かないから電気もつけれない。
2
月が雲から逃げきる。
プゥーーン、プゥーーン
1
月明かりで見えたのは、
大男がおれに往復ビンタをしようとしている風景だった。
バチン!
「やっと取れた…」