5話 平凡な学生の夢の続き
草原、白い花、青い空。・・・ああ、そうか。たぶん昨日と同じ夢なんだ。
昨日は意識が消えると同時に僕はベッドの上にいたし、夢なはずなのに今日もおなじものを見てる。・・・ただの夢、と割り切るのは難しそうだなぁ。
この夢はいったい何なんだろう・・・・・・・。どんなに考えても今の僕にはまったくもって答えは出ないらしい。いや、でもそれ以外考えることないしなぁ・・・。う〜ん、何なんだろう・・・。
しばらく同じように思考の堂々巡りを繰り返していると、あの子供たちがやってきた。
今日はもう1人、三十代ほどの黒髪の男性も一緒だ。子供たちの父親・・・なんだろうな。顔立ちのすっきりしているところは子供たちと変わらず、ちょび髭がなければ兄かなんかだと思ってたところだ。だんでぃさが漂っておりますわな。僕のむしろ女性的な顔とは大違いだなぁ〜。・・・・・い〜なぁ。
子供たちはその男性に抱きついて楽しそうにおしゃべりをしている。
「-^^-\^@;\^¥:;。-」
「¥^−;。、@」
「\-\^^--。、;:」
・・・前回の子供たちの会話でもう気づいてたけど、どうやら日本語じゃあないっぽい。発音は英語やフランス語みたいななめらかな言葉だ。その、僕にはわからない言葉で2人は男性に何かをねだっている。するとその人は二人をなでるとうなずいた。
男は僕のほうを向いて言葉を発する。
『立ってください。』
それは流暢な日本語で。僕は内心驚いた。あれ、それだけじゃない?
(・・・・・!!?)
さっきまで動くことどころか感覚すらなかったはずの体に力が入った。とりあえず僕は座っていた状態からゆっくり立ち上がる。・・・それでもなんだか自分の体じゃないみたいに動きがぎこちない。感触も変だ。
3人が視界の下のほうにうつる。男性のほうは僕の半分ぐらいしかないみたいだ。・・・ちっちゃい。
「「「おぉ―――――。」」」
こういう驚きの声はどこも同じなのだろうか、3人が僕を見ながら、大きく口を開けて驚く。っておっさん、あんたも驚くんかい。男は一通り驚き終わると二人の子供を見てにやりと笑い、僕にもう一度話しかける。
『二人の言葉を聞いてあげてください。返事もしてくれるとうれしいですね。』
命令ではなくてお願いだけど、そうしてあげたいと思う気持ちが僕にもあったから言葉に素直に従う。男は二人に説明しているようで、話を聞いた二人の笑顔がさらに輝く。・・・ってあれ?言葉わかんないんだけど・・・。
「「こんにちわ―――!」」
・・・さっきまでまったくわからなかったのに・・・二人の言葉が理解できる?あれ?日本語話してるんだよね?・・・?どういうことだろう。・・・いや、そうだ、返事しなくちゃ。悪霊も見ただけで成仏してしまいそうな笑顔の二人に「こんにちは」と・・・
「ヴゥ――ン!」
・・・言えない。しかも変わりにスターウォーズのライトセーバーみたいな音が出る。(こういうのの著作権とかってどうなってんだろ・・・。もし訴えられたら死んじゃうな、作者。まぁ困るのは作者だし、いいや。)
(つかなんだよこりゃあ。・・・確かに返事にはなってるんだけどね・・・。)
しかし、僕の考えとは関係なく二人はキャッキャキャッキャと喜んでいる。
「かっこいい!!」
「え〜?かわいいよぉ〜?」
「ヴ、・・・ヴン?」(か、かわいい?)
・・・う、う〜ん。何だろう。あんまし僕とは縁のない言葉のような・・・。・・・まあなぜか女性のほめ言葉のきれいだ、を使われたことはあるけど。(それはそれで問題があるような気がせんでもない。)・・・それにしてもこの体、大きさといい、外観の感想といい、僕ではないかのような・・・。
・・・もしかしたら本当に僕の体じゃないのかも。こんなにぎこちなく体を動かさってるし。
「あのね、私の名前はサンサ!!んでね、お兄ちゃんのクルと、お父さんのクロサム!!ファミリーネームはヴィーレル・レイスターっていうの!!!」
サンサが僕に向かって自己紹介・・・と家族の紹介をしてくる。元気いっぱいだ。えっと・・・名乗り返さなきゃ。
「ヴゥ―――ン。」
・・・無理でした。悲しい・・・。
気がつくとクロサムが二人に耳打ちをしている。
「うん。わかった!ね、お名前つけてあげる!!」
「そうだなぁー、なにがいいかなぁ。」
そういうことになったらしい。どんな名前になるんだか。
「モモちゃん、なんてどうかな?」
「う〜ん、それはなんか弱そ〜。もっとすげ〜名前がいいな。」
一理ある。一介の男子高校生がモモちゃんでは格好がつかない。・・・というかなんか嫌。
「やっぱゲパルト8世がいいな。そこはかとなく気品が出てるし、格好いいだろ〜?」
・・・まだモモちゃんのほうが・・・。いや、モモちゃんって呼ばれたいわけじゃないけど・・・。その名前はやだなぁ・・・。8世ってなにさ8世って。
「ヴゥ―ン・・・」
困った。その二つだけしか候補がないのか・・・。何気に絶体絶命じゃね?僕。
またもやクロサムが二人に何か話しかける。・・・なんだか少し寂しそうな顔をしながら、だ。なんなんだろう。
「あぁ〜。」
「うん、OKだよ。」
「えっとね、あなたの名前が決まったよ〜。」
とサンサがこちらを向いて言う。にっこにこな顔だ。
「あなたの名前は、ヴァン!!」
「これで決定、だね。」
二人ともニコニコし始める。ヴァン、ね。なんでそういう名前になったかはわからないけど結構いい名前になったような気がする。
「よーし、名前も決まったし、ヴァン!私を肩に乗せて〜!!」
「あ、じゃあ僕も〜!!」
ふう、しかたないなぁ、やってあげちゃおう。そう思って手を伸ばそうとするが・・・
「ヴ?」
体が動かない。最初のときと同じ体の、動かない状態になっていた。いったいどういうことなんだと戸惑っていると、クロサムがぽんと手を打ち、
『すいません、忘れてました。それでは、二人を肩に乗せてあげてください。』
不意に体が動くようになった。え〜と、もしかしたらクロサムの言葉があって初めて動けるようになる、のかな?
自分の手を二人に伸ばす・・・・・・へ?・・・あれ?・・・岩?腕が・・・岩でできてる?
(・・・まじで岩ぁ!?手が岩ぁ!??じゃあもしかして体も・・・)
・・・って見えない・・・・。でもこの感触(?)は、全身岩なのか?・・・。本当に僕自身の体じゃないんだ・・・、ってさっき考えたことが的を射ていたことに自画自賛。
・・・・・・・・うーんそれにしても、岩かぁ・・・。
・・・・・・・・これはいったい・・・。
「ヴァン・・・乗せてくれないの?」
・・・そうだった、忘れていた。慎重に二人に手を伸ばす。無骨な岩の手で小さな子供を乗せることに若干肝を冷やしながら、ゆっくりゆっくり腕を持ち上げ、肩に乗せる。
「高〜い!!」
「すっげー!!!」
二人が喜んでくれている。・・・かわい。その笑顔に一人暮らしで久しく感じていなかった、『家族』というものを再び得られたような、あったかい気持ちになった。この子達は、僕をとても安らがせるみたいだ・・・。
(・・・ずっとこうしていたいな・・・)
僕は、小さくそう思った。もう僕の体がどうだ、とかそういうのはどうでもよくて。肩に乗る2人を、僕はゆったりと見守り続けた。
ここまで読んでくれた人ありがとうございます!!
できれば、ここはこうしたほうがいい、とかここなんかおかしくね?(脱字)とかおもしろいおもしろくないだけでもいいのでコメントをいただけるとうれしいです。まだまだお話は始まったばかりですが、どうぞよろしくおねがいいたします。




