表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/43

 40話 知らず微笑み




ひたり、


とお化け屋敷特有の背筋を凍らせるような音が響く。


私は、・・・私、歌姫は、正直お化け屋敷が大好きだ。フリーク、という言葉がつくぐらいには大好きだ。


理由は、小さいころの思い出による。今は大嫌いな父親と一緒にお化け屋敷に行ったときのことで、当時私はまだ小学生だった。


初めて入ったとき、怖いって思った。本気で泣き叫んでいたのを今でも覚えてる。お父さんもお化けとかが苦手みたいですごく怖がってたけど、私には強がりを言って胸を張ってお化けを私に近づけないようにしてくれたり、ね。・・・・たかだかお化け屋敷なのに。・・・でもそういうお父さんが私は大好きで、だからこそお父さんと一緒にお化け屋敷に行きたいっていっつもせがんで行ってたらいつの間にか好きになってた。

すごい理由があるってわけじゃあないのよね。ただ、一緒に行ってくれる相手の本質っていうのかな、そういうのが見れる気がするのよ、お化け屋敷って。あえていうのなら、そこかな。


でも、今の状況はこの状況は、嫌だ。私や相手が本当に危険に晒されるなんてことを、私は楽しめない。どころか、小刻みに体が震えているのがわかる。



「・・・・まず、ここを出ようか。危険だからね。」


と後ろから優しい声がかかってきた。たぶん私が震えているのを気遣ってのことだろう。


「・・・・・わかってるわよ、行きましょう。」


気遣われていることがわかっていても、私は強がる。私はこの人が嫌いだから、そういうことをしてしまう。私の、悪い癖だ。


ガタコンッ


「うわっ!?」「ひゃっ!?」


・・・・・。


ちょっとだけ、お化け屋敷ってところが恨めしくなる。いちいち、本当に危険な犯人を連想させるような物音ばっかりだ。


「大丈夫ですよ、私がついていますから。」


にこりと落ち着いた振りして私に話しかけてくる社長。


(相変わらず、・・・・。)



ふふ、と笑った私は、気がつくと今の状況を少しだけ楽しんでいた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ