34話 本来の目的と探偵と
そんなこんなでどうにか合流した僕らなんだけども、先生・・・『K』はなにやら最初に会った社長さんと話をしているようだ。
「『K』、どうしたの?」
「ん?狂人か。副業の最中だぞ、今はな。」
「・・・・探偵、ですか。」
「ん。」
適当に肯定して社長との話に戻る『K』。
「・・・・まぁ、だいたいさっきお話した通りなのでよろしくお願いします。・・・・・おや?これはこれは歌姫様、当テーマパークをお楽しみいただけましたかな?」
まったく気づいてませんでしたと言う風に言って来るが、にやりとした顔のこの人ににまじめに付き合うには無理があるよなぁ・・・アレ作った人なら。
「・・・・ぜんっぜんっ、楽しめませんでした。」
「そうですか・・・、それは残念です。しかしまだまだアトラクションはありますから、ゆっくり見てってくださいね。」
歌姫の言葉は意にも介さず、平然と言い放った社長さん。
「・・・うげぇ・・・。」
(・・・女の子にあるまじき言葉を出しちゃったよこの子。気持ちはわかるけどさ、痛いほどにね!)
「・・・・・では『K』、本題に入りましょう。」
と社長は話を切り出し始めた。
「あぁ、わかった。逃亡犯の木下 輝明の捜索、責任もって任せてもらおう。」
「・・・。はい?」
(木下 輝明?どっかで聞いたような・・・。)
「・・・・・・・・あああああ!!!私が朝のニュースで読んだ記事の人だ!?」
なんて歌姫が叫んだために僕の考えもほぼ記憶に残らないような薄―いニュースキャスターがやっていた朝のニュースを思い出した。
(・・・・・・・・あぁ、そういえば朝の出会ったら110番で逃げたほうがいいんじゃないかの殺人犯かよ!?連続殺人犯だとかの!?)
「狂人、考えが訳がわからんぞ?もうちょっとわかりやすく論理的に思考しろ。いろいろと大変だろ。」
「人の考えを勝手に読まんでください!!そしてそれに文句つけないでくださいよ!?ホントどうやってる読んでるんですか!?」
「ん、読者視点。」
「ぎゃーーーーーーー!!!!世界が崩壊しますからそんな事言わんでください!!!」
でも一応この流れに歌姫と社長はついて来れてないのか首傾げてるし、崩壊なんかしないよな〜うはははは!!
「落ち着け、狂人。この物語の主人公はお前だ。よかったな。」
「そのせいで僕の考えが全国に流れちゃってますけどねぇ!!!?ぜんぜんうれしくないのはどうして!!?」
「知るか。そんなものは作者に言え。ほれ、あいつのアドレスを教えてやろうか。」
「気軽に神様と友達になってるぅぅぅ!!!いやいや教えてもらわなくてもいいですから!!そこで教人として引けないとかそういうのもいいですから!!」
ぽんと僕の肩に手を置く先生。ふっと笑って語りかけてくる。
「落ち着け、狂人。とりあえずあいつは私の下僕だからな。友達じゃない。」
「友達以下だった!!?」
なんて馬鹿会話していると、横から影の薄い二人が話しかけてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・あのぉ・・・・・、『K』。そろそろ本題のほうをやってもらわないと・・・・。」
「キョウジンさ〜ん、私たちも会話に参加させて〜。こんなおっさんと二人黙り込むなんて嫌です〜。」
無駄に毒舌だな歌姫・・・。まぁいいか。話を戻して、と。えっと、木下 輝明・・・だっけかな?
「で、なんでそんな犯罪者を捕まえる依頼なんて出すんです?まさかとは思いますけど・・・」
「そのまさかだ。このディーバランドの中に木下 輝明が潜伏してる可能性が高い。壁際の監視カメラに侵入するそいつの映像が映っていたらしい。」
「はぁ。で、何で探偵なんか呼ぶ必要があるんですか?人海戦術なり警察呼ぶなりすればいいじゃないですか。」
「警察は・・・・だめです。こんな噂や報道など流れたら困るのですよ。それに、あまりに多くの人員を使えば何かしら感づかれてしまいます。」
「ふ〜ん、汚いんですね〜。これだから大人って嫌・・・・・・・。」
露骨に顔をゆがませる歌姫。なんだか異様に嫌な顔をしているのは気のせいだろうか。
「はぁ、それならまぁ仕方ないとも言えるしいいですけど、『K』、どういう風に探すんですか?ここって広いですよ。」
「ん、それについては考えがある。社長から警備員の配置図をもらった。ほれ、みろ。」
ばさっと近くのテーブルに大き目の地図の描かれた紙を広げた。そこには建物の構造を表す遷都と警備員の見回り配置図として円が描かれていた。
「この配置図から見て死角になるのはジェットコースターのここから、ここまでと、ここから、ゲームコーナーの、ここまでだ。」
きゅきゅきゅっとその配置図に色ペンで書き込む。するといくつかの小さな空白と完璧に大きな一つの空白ができた。
「・・・・・・お化け屋敷、か。」
「・・・・・・・ですねぇ。」
とりあえず僕らの行き先はそこで決定のようだ。これから始まりそうな受難に、僕は軽くため息をついた。
なんかどこぞのあとがき的会話を本編で出してしまうっていう作者自身がおいおいいいのかコレって思った話でした。
ノリだけで進めると斜め上にぽんぽん跳んでく奴らです。(狂人と先生の組み合わせ)
さてシリアス面は進んできました、会話劇を眺めつつ、見守ってやってください。
それでは失礼、黒田猫男でした。