25話 理由と決着
・・・ギャァァァァァァァァァァァッッ!!!!!!
倉庫の奥から悲鳴・・・・、狂ちゃんか・・・。
「なんだ・・・今のは?」
「あ〜あ、やっちまったか。」
「ど、どういう意味だ。」
剛田はわけのわからないといった風な顔をしている。ま、当然か。
「本当はよ、俺は狂ちゃんを助けに来たわけじゃねぇんだよ。」
「・・・。」
「あいつが本気出すと死人が出るからね、マジで。俺は『お前ら』を助けに来たんだよ。」
「・・・・。そんな危険人物には見えなかったが。」
平静を取り戻してまた威圧感を放ちながら答えて来た。
「あいつはよ、人を殺すことに関してなぁんにも関心がないんだよ。そういう奴だからこそ、俺がついてないと危険で危険で。ほら、さっきの悲鳴の主もそろそろやばいんじゃないのか?・・・・・まずいな、もう悲鳴すら上げなくなった。」
「・・・・・、それが本当だとして、そんなことのためにここに来たのか?」
「あぁ、そうだよ?あいつが人殺しになるよりは雑兵100人やそこらと戦ったほうがマシだぜ?ほれ、この通り。」
左腕を後ろに向ける。そこにあるのは死屍累々、うめき声を上げる奇怪な人の山。
「後お前だけだぜ?どうする?」
「・・・・、かなわんな。お前には。」
「そうか、なら案内してくれよあいつのとこに。ほんとに殺しちゃうからさ。」
「黙れ。」
「・・・・。結局、やるのかい。」
「長だからな、この集団の。けじめはつける。」
「・・・・番長も大変だな、こんな馬鹿どもが手下なんてな。」
「いや、悪くはない。しかしまあ、確かにみな素行は悪いがな。」
すぅぅっと息を吸って番長剛田は言葉とともに呼気を吐き出す。
「話は終わりだ!強人!!・・・・今ここで、貴様を倒おぉぉぉぉすっ!!!」
自身の太い腕を壁に叩きつける。嫌な音とともに鉄製の壁が大きくゆがんだ。
「パフォーマンスはいいから来いよ、こっちは急いでんだ。」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!
雄たけび上げるは漢の声。
ひゅぅぅぅぅぅっ
と息を吐くは強者の息吹。
二つが、激突する。
ッッッドッゴォォォォォォンンンンンッッッッ!!!!!!
地面に叩きつけられたのは、巨体の体。勝者は、強人。
「残念だけどさ、今んとこ俺が史上最強の『強人』なんだわ。番長ごときに負けるわけないだろ?」
「・・・・・。ぐぅぅぅぅぅっ。貴様・・・・・・・手加減・・・をしたか・・・。」
「あら?・・・ばれてたか。でもよ、俺ぁ本気で戦ったことなんてここ4年、1度もねぇんだよ。・・・・じゃあな。」
「・・・・グググッ、・・・・無念・・・。」
ドサッと気を失い倒れる。
「ついでに言うと、結構好きになれそうだぜ?お前のこと・・・って聞いてねぇか。」
なれねぇことは言うもんじゃねぇな・・・、と頭をかいて強き者は去っていった。