23話 対峙、強き者
駅から少し離れたところにある廃倉庫、俺はそこのど真ん中にいる。周りを100人ほどの男たちで埋め尽くされている。そして俺の目の前には、昔ぶちのめした男がいる。
「で?俺の舎弟になる決心はついたかい?愛しの強人さんよぅ。」
「・・・・・・・・。」
(・・・狂は・・・・、いないか。)
「ほれ、そいつの携帯だ。繋がってるぜ?彼氏だかなんだかは知らねぇが大事な奴なんだろ?今はお前に手ぇ出させねぇから、安心しな。」
「・・・・、失礼。」
携帯を手に取る。
『・・・・・・・・。先輩・・・悪い。』
「・・・ちょっとだけ待ってろ。すぐ行く。・・・・おい、俺を後ろから狙ってる奴、剛田クンとやらに消されるぜ?」
ぎくりとする気配が伝わってくる。すごすごと言葉を聞いて下がっていった。ふんと息をはいた私はメンチを切る。
人差し指をちょいちょいっと傾け、軽ぅく余裕たっぷりで言い返す。
「と、いうわけだ。俺は急ぐからな。全員でかかって来い。」
「ほう?俺の下につく気はない・・・と。そういうことか。」
「ああ、俺はしつこい奴と人生舐め腐ってる奴は嫌いなんだ。」
あ〜あ、と剛田が天を仰いだ。くそぅ・・・とつぶやく。
「そんなにあの男のほうがいいのか?女に守られてるような奴だぞ?」
「・・・別に守ってやってる訳じゃあないけどな。つうかまるで俺を好きみたいなものいいだぜ。馬鹿か?」
「ああ、馬鹿だよ。さっきからそう言ってんだろ?俺は始めて見たときから惚れてんだ。」
だからよぉ・・・・とつぶやく。
「正直残念だぜ?お前を力づくで俺の女にすんのはよ。」
手を振り、後ろの部下に伝える。
「銀二、やれ。」
「おっす、剛田クン。・・・・・・・・おまえらぁ!やっちまえぇ!!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
100人に加え、倉庫の節々から出てきた男どもの歓声で寂れた廃倉庫は大きく揺れた。