21話 運の悪い僕
「とりあえずそこまでこいやガキィ。」
・・・・いらいらいら。苦手なんだよなぁこういうの。何で僕がこんなことにならなくちゃいけないんだよ。大して金持ちでもないのにさ。
「さっさっと来んかいオンドリャァッ!!」
ガッ!
痛い。何すんだよ、とは思うが文句は口に出さない。余計に大変なことになるからね。それは嫌だし。
お決まりもお決まり、路地裏にて。
「で?おいくら貸してほしいんですか?返済期間は?利息は?」
「あぁん?全財産を今すぐ貸せよ。ま、そのうち返してやるからよ。ハハハハハッ!」
ほれ、出さんかい!!と怒鳴りつけてくるんで耳が痛い。つうか返す気ないのは明白だね。僕のボケにまじめに答えられても困るんだけどなぁ・・・。・・・あかるがいれば「貨すんかいっ!!!」って突っ込んでくれるのになぁ・・・。・・・まあこいつらに笑いを期待してもだめか、自分のためだけに笑ってる奴なんかに人を喜ばすことなんてできないんだし。
・・・・・いらいらいら。相手すんのに疲れてきた。
「ちょっと待っててください。」
「おぅ?自分から出すなんて気前のいい奴もいたもんだなぁ?」
ピ・ポ・パ・・・と。
プルルルルル・・・・・プルルルルル・・・・ガチャッ。
「警察ですか?あのう、今カツアゲされてんですけど。」
「てんめぇ!!」
ゴッ!
がしゃっと携帯が吹き飛んでいく。あぁ壊れたかもなぁ・・・と遠い目をする前に頬が痛い。思いっきしぶん殴られたらしい。
(さすがにだめかぁ・・・・。)
・・・・・・いらいらいら。
「てめぇ黙ってりゃいい気になりやがって!!舐めんじゃねえぞゴラァ!!!!」
あんた一度でも黙ったてたっけか?頭の中に詰まってる物は何?本当はないんじゃねぇの?あ〜あ〜、胸倉つかまないでよ伸びるだろうに・・・。てもう遅いか。はぁ・・・。
ガンッ・・・・・・・。痛い、唇が切れた。
(・・・ふぅん。)
「おい。何をしてんだよ、俺のダチに。」
・・・・・先輩か。
「・・・・やっべぇ、強人かよ!?」
「・・・こいつ強人の連れか!?くそっ、運の悪ぃ・・・。・・・・・行こうぜ。」
「お・・・おう。」
・・・・。邪魔なことを。
「・・・弱いんだからもうちょっと何とかならないのかよその癖。」
「癖って?」
「おまえさ、けんか売られたら相手複数でも買うだろ。それやめとけって言ってんだよ。」
「嫌。」
「・・・・。はぁ」と頭を抱えてしまった。先輩に言われようとも変える気はないし変わる気もないけどね。・・・これが僕の狂人たる所以かも。
「行くぞ、あかるがお前の番待ってる。今度はお前と対戦するんだってよ。」
「・・・・・そうだね。じゃあ僕が先輩の敵を討ってあげるよ。」
「ま、負けてなんかない、まだ2勝2敗1引き分けだぞ。」
「はいはい。」
さて、行くか。と2人でゲームセンターに戻っていった。僕は軽く言い合えるこの間柄が好きだった。
あえて言うなら姉みたいな存在だな、と先輩のことを思ってたりする。
ちなみに、
僕は岩のようにごつごつした筋肉の巨漢、一撃一撃の重さで攻める重戦車のばりっばりのパワータイプで行った。・・・キャラの中で一番弱いと評判の奴だ。
「・・・ほんとにそれでいいの?・・・それ極めても扱いが難しいキャラだよ?」
「まぁまぁ。」
・・・FIGHT!!!
ドンッ・・・ボッ、ガンガンガンッ!
ピキィーン!!!(必殺技音)
ドドドドン!ドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!!
ピィキィィィィーン!!!(最終必殺技音)
イイイイイイイインン!!!ッドッゴオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!
YOU WIN!
「うそぉ!?なんで必殺技の後にラストエンペラーが発動すんのよ!!?こんなのネットでだって見たことないよ!?」
ドッゴォ!! YOU WIN!!!
「はぁぁぁ!?一回も当てれず負けた!!?」
僕の圧勝。当然〜。いやはや家でやりこみまくったゲームだったのが幸いしたね。いや〜、快爽快爽快。ゲーセンでやるとまた格別だなぁ、うん。
うはははは、雑魚どもがぁ。と笑ってやるとなぜか僕はリアルストリートファイトをやる羽目になった。もちろん僕自身のヒットポイントは即座にゼロになったとさ。