14話 『狂人』の始まり
あの人のあだ名は『狂人』っていうの。
何でかって?そりゃ決まってるわよ、あの人は狂ってるから。
何を根拠にって・・・別に私がつけたわけじゃないんだよ?いつの間にか流行ってただけ。それに、少なくとも私みたいに彼と同じクラスだったやつはみんなそれが真実だって知ってるもの。・・・・あの事件が起こってからはね。
あれはいつもどおり授業やってた日なんだけどもね・・・、そんなときに起こったのよ・・・。
事件の場所は当時1ーBの教室の窓際一番前。つまりそのときの彼の席あたりに、頭のイカれた変質者が入ってきたのよ。相当なデブで汗まみれのやつ。
先生は何事だ、って驚いてたけど変質者がナイフを取り出したの見て腰抜かしちゃって。で、その変質者は一番近くにいた狂人ののど元にナイフ突きつけてわめき始めたのよ。その内容がもう・・・。あぁ〜今でも鳥肌立つ。なんていったと思う?
『おい、全員服を脱げよぉ、こいつ、殺されたくないよなぁ・・・。フヒィ!・・・全裸だぞぉ・・・。フヒヒヒヒヒィ・・・・。』
もちろんその気持ちの悪い要求に誰も従わなくて、狂人以外変質者から身を退けてたわ。先生なんて腰抜かしたまま逃げようとしてたわよ?マジありえない先生でさ。でもま、もうその先生もこの学校辞めちゃったし。
私たちだって狂人を助けたかったよ?でもさ、あの変質者の要求は絶対嫌だったし、怖かったのよ。しかもこの教室から出たらこいつを殺す、すぐ殺す、とか言い初めて。
んでさ、・・・・うううう、狂人ってさ、女顔じゃない?それに気づいちゃってさ、あのデブ、顔を舐め始めたのよ。
しばらく私たちと変質者を冷めた目で見続けてて。
あ、はははははははははははははっ!!!!!!
いきなり笑い始めてさ、・・・あれは、やばかった。背筋がぞわぞわってきたわ・・・。
狂人の笑い声に驚いた変質者がちょっと離れたら、近くの椅子つかんで・・・殴りかかったのよ。
一発でナイフ取り落として泣き叫んでるそいつ目掛けて滅多打ちにし始めて。
振り下ろして、振り下ろして、振り下ろして。腕とか折れるをとしてもまだ続けて。
泣いて謝ってきても振り下ろして、ぶん殴って、叩きつけて。腕とかから白い骨見え初めてさ、それでもやめなくて。
声にならないような悲鳴上げ始めてもまだ終わらなくて・・・。血を吐いて私たちが悲鳴上げて止めようとしても・・・ね。
相手が血だらけになって気を失わせてからちょっとしてからやっと我に返ったみたいでね・・・、そのころにはもう、足とか手とかぼっきぼきに折れてたし全身血まみれ。ひゅーひゅー息する音聞こえてたけどもう、やばくてさ。
そのあとやっとほかの先生が騒ぎ聞きつけたみたいでやってきてさ。
説明求める先生と今度その先生のこと悲鳴上げながらぶん殴って、止めに入った男子生徒のことも殴ってね、逃げるように帰ちゃったのよすぐ。その後警察の事情聴取とかで錯乱状態のためのどうのこうのとかって話になってて、一応事なきこと得たんだけどね・・・。そのせいで狂人の両親、自分の息子と距離とるためにどっか働きに出ちゃったらしくてさ。
あ、一応その男、運良くだか悪くかわからないけど下半身不随でベット生活らしいわ。
・・・そのあと少ししてからもさ、あのときみたいに突然笑い出したりとか、近くの森にいた野良犬殺そうとしたりとかなんかいろいろやってて。
私たちだって一応優して臆病な人ではあるってわかってるんだよ?でもさ・・・怖いのよ。あの人に間違ってうらみでも買われたりしたくないのよ・・・・。だから誰も近づかないの。人を殺せる類なのよ狂人は。・・・・私たちだって機嫌しだいで死にたくないし。
あなたもあの人に関わるのはやめたほうがいいよ、絶対。
しかも何にもわかってない馬鹿な男子の一部がいじめの対象にもしてるみたいでさ。同類扱いされてこの学校にいられなくなるよ?
だから、絶対関わったらだめ、いい?忠告しといたからね。
暗いです。なんか暗いです。テンションがやばいです。暗い話を書くと堪えるなぁ・・・。
まぁ見ようによっちゃああんまし狂ってもないかもしれませんが、学校という場でそんなことが起こればこういう扱いを受けてしまうかもしれません。
キレると怖い、彼の過去エピソードでした。