9話 夢 研究者の悩み
『元の場所に戻り、待機しろ。』
クロとサンサを乗せた後、急にヴァンの頭部にある赤い線が消え、微動だにしなくなった。しかもその後はどんな『エンシェント』(ヴァンのようなゴーレムを動かすために魔力を使って話す言葉)での 『お願い』も聞くことはなかった。いや、実際『お願い』でゴーレムたちを動かせたことは今回以外では一度もなかったのだ。元に戻っただけともいえる。
『お願い』と『命令』の違いは、『命令』が自分の魔力を大きく消費する変わりに絶対にゴーレムを確実に動かすことができるもので、『お願い』はゴーレムに何もしないか、お願いを聞くかのどっちかを選ばせることができる、らしい。これは私の家内から聞いた話である。
「ヴァンは得意だったのになぁ、『お願い』」
そう、ヴァン。私の妻の名前である。今はもう他界したが、彼女は最上位のエンシェント使いだった。持ち前の総魔力量の大さは言わずもがな、魔力の消費の小さい『お願い』で人よりも多くのゴーレムを動かして今まで多くの困難を乗り越えてきたのだ。私自身何度もそれに助けられてきた。
(やっと追いつけたと思ったんだが、甘かったか・・・。)
彼女は、他界する前に私と彼女で作っていったエンシェントの研究書を残していった。その中に『お願い』に関する記述があったのだが、どうもその通りにはならない。ゴーレムは意思を持っている、というは、あのヴァンのおかげで理解することができたのだが、いきなりその意思がなくなったかのようにとまってしまった。・・・なぜなんだろう。
ため息をひとつ。私は研究書を読み返すことにした。
読者の方はお楽しみいただけたのでしょうかねぇ。判断つかないですね、というかまだまだ始まったばっかりでよくわからん、って言う人が多いと思いますしこれから、ですね。
う〜ん。しかしまだまだ夢の世界についての説明が足らないですね。
その辺については今後、ということで。
それでは。