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夕暮れ

作者: 停滞

 例えば日が暮れる寸前のオレンジ色の空間。

 自転車に乗ってふと空を見上げると黒い服を着た女の子が浮かんでいたとしよう。

 女の子は両手を空一杯に広げて楽しそうに飛んでいた。

 走ることを忘れて私は少女を見つめた。不規則に飛び回り、やがて少女は私の前に降り立った。

 驚いている私に少女は無邪気な笑みを見せる。暗い髪色はオレンジに照らされささやかに着色されている。

 不気味な感じがした。

 日が暮れたので私は家に帰った。ふよふよ空を飛んで少女もついてきた。

 少女を家にあげて椅子に座らせ牛乳を出すと美味しそうに喉をならして飲み干した。

 その様子を見ながらしげしげと私は少女を観察した。

 足の爪先から両の手の先まで真っ黒な服に身を包み、首もとまで伸ばした黒髪に、笑みを絶やさぬ口元。

 空を飛んでいたから化け物には違いないだろうがずいぶんと可愛らしい。

 ふと私は思い立って台所に向かい昨日作った味噌汁を器によそい少女のもとに戻った。

 それもきれいに飲み干して少女はニカっと笑った。

 君は何なの? と私は訊ねた。

 少女は笑ったままだった。

 コホンと息を吐き私は椅子に座った。

 テーブルを挟んだ目の前には誰も座っていない椅子。私が飲み干した器とコップがそこにあった。

 所詮そんなものである。

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