退魔師訓練 part2
夕食を終えた私とアヤト君は、私の武装を選ぶために中央棟の地下にあるという武器庫へと向かうことになった。
「そういえばお前、家族は?連れて来た俺が言えることじゃないが、心配してるんじゃないのか?」
武器庫へと向かう道の途中、アヤト君が突然そんなことを聞いてきた。
「あぁ、うん...家族は、いないんだ...私が小さい頃に、お父さんもお母さんも事故に巻き込まれちゃって...それからは親戚の方のおうちを転々としてたんだけど、最近バイトをしながら一人暮らしを始めたの。バイトはクビになっちゃうだろうけど、まぁ、ここで働くなら別にいいかなぁって」
私の返答を聞いて、アヤト君は少し呆れたような顔をした。
「なんだろうなぁ...お前って、どこまでもポジティブなんだな。まぁ原因作った俺が言うのもなんだけど」
「あはは...うんまぁ、その辺についてはあんまり気にしてないから、アヤト君も気にしないでいいよ」
「そうか。まぁ、お前がいいならいいけどな」
と、アヤト君はそこまで言うと、鉄で出来た大きな扉の前で足を止めた。
「さて、ここが武器庫だ、支部長から鍵は預かってきてあるから、早速あけるぞ」
そうしてアヤト君が、鉄の扉の右側についているカードリーダーにカードを通すと、ゴゴゴ...といういかにもな音を立てて鉄の扉が開いた。
「よし、入るぞ」
「う、うん」
中に入ると、そこには西洋の剣や日本刀や拳銃など、さまざまな武器が置いてあった。
「おぉ~、ほんとに武器庫だねぇ」
私がそうつぶやくと、アヤト君は吹き出していた。
「な、何で笑うのよ!」
「いやだって、ははっ、まぁ無理もないけどさ。一般人からしたら、非現実的すぎるもんな」
アヤト君は少し笑うと、私のところに大きな西洋の剣を持ってきた。
「これなんかどうだ?わりと似合うかも」
「え~...こんなの似合わないよ...」
試しに持ってみると、あまりの重さに落としてしまった。
「って重!?何これ重すぎじゃない!?」
「そうか?そんなでもないと思うんだが...ま、持てないんじゃダメだな。次のを探そう」
アヤト君は先ほどの剣を元の場所に戻すと、今度は日本刀を持ってきた。
「これなんかどうよ、軽くて使い易いと思うぜ。試しに振ってみな」
アヤト君はそういって、私に日本刀を手渡してきた。
「うーん、確かに重くはないけど...」
どうもそういう問題じゃないんだけど...まぁ言っても無駄か。
「えい!」
私は適当に刀を縦に振ってみた。が、刀に振り回されてしまい、バランスを崩して転んでしまった。
「あいたたた...」
そんな私の様子を見て、アヤト君は小さくため息をついた。
「はぁ...どうもお前は、近距離武装はやめたほうがいいみたいだな」
そういうとアヤト君は、小さな拳銃を持ってきた。
「ほい、こいつを奥の的に向けて撃ってみそ」
私は立ち上がって、アヤト君から拳銃を受け取り、部屋の奥にある人間ほどの大きさの的を狙う。
「おぉ、なんかそれっぽい雰囲気は出てるな。よし、そのまま引き金を引いてみな。しっかり踏ん張れよ」
「う、うん」
狙いを定めて、引き金を引く。
バァン!!
大きな音を立てて、銃身からすさまじい衝撃が手にやってきた。
「あう!...す、すごい音だなぁ...」
一方アヤト君はというと、的のほうを見て驚いている。
「ひゅ~、すげぇな、100点満点、ド真ん中に命中だぜ」
言われて的のほうを見ると、頭の真ん中に大きな風穴が出来ていた。
「おぉ~、当たった...」
「ま、武器はそいつで決まりだな、となると、今日はここまでだな」
アヤト君はそういって、腕時計に目をやった。
「あ、じゃあもう部屋に戻ってもいいの?」
「あぁ、お疲れ様。まぁ無事に武器が決まってよかったよ」
よかった...正直とても疲れたので、早く部屋に戻ってさっさとベッドに入りたかった。
「んじゃ、明日は9時に中央ロビーに集合な~」
そう言い残すと、アヤト君はすぐにどこかへ行ってしまった。
「あ...行っちゃった...まぁいいか。私も早く戻って寝よっと」
私はなんだか少しだけうれしくなって、拳銃を持って自分の部屋へと戻ったのだった。