運命の夜 part1
「...から...で...」
近くで声がする。どこかで聞き覚えのある声。でも誰の声かは思い出せない。私は声の主を確かめるために。少しずつ目を開けた。
「だから、なんでアンタはそう適当な情報を伝えるんだよ!おかげで死にかけたじゃねえか!」
目を開けると、先ほど路地裏で出会った少年が近くにいた長身の男性に怒鳴っていた。
「いやぁゴメンねアヤト君。ミチルちゃんの偵察記録だと全然ショボいって書いてあったからさー。ね?これあげるから許してよ〜」
長身の男性は少年に小さな紙を渡す。すると少年はため息をつきながら言った。
「はぁ...全く、こんなもので許す気になる俺は随分とお人好しなんだろうなぁ」
どうやら少年は男性のことを許したらしい。そして男性が私の方を見ると。こちらに駆け寄ってきた。
「あ、目が覚めたみたいだね。いやぁ良かったよ〜。アヤト君手加減ヘタだから殺しちゃったかと思っちゃった」
男性はニコニコしながら私に話しかけてきた。続いて少年の方もこちらに歩いてくる。
「よ、よぉ。さっきは悪かったな。手加減したつもりだったんだが。その、まだ痛むところはあるか?」
少年は申し訳なさそうにしながら少し頭をかいている。
「あ、いや、特には無いです...けど...あの、ここどこですか?」
私は目の前で申し訳なさそうにしている少年に問いかけた。すると少年ではなく、男性の方がニコニコしながら答えてくれた。
「ここはね、退魔機関っていう所の極東支部だよ。まあ、一般人である君がなんでこんな所にいるかって言うのは、言わなくてもわかるね?」
そうだ。私は少年に死にたくないと告げて、近くに来いと言われて近寄ったら気を失った。そして目覚めたらここにいた。まあつまりは私を失神させた後にここまで運んでくれたのだろう。
「そうそう、まだ君の名前を聞いてなかったね。聞かせてくれるかな?」
男性は思い出したように聞いてきた。
「あ、私は水無月結姫って言います。はじめまして」
私は名乗ってからペコリとお辞儀をする。というか、なんで私はこんな怪しい連中に名乗っているのだろうか。
「なるほど、ユウヒちゃんか。はじめまして。ボクは仁堂ムラサメ。この極東支部の支部長をしている者だ。ほら、アヤト君もちゃんと自己紹介して」
ムラサメと名乗った人がそう言うと少年は少し困った顔をしながら名乗った。
「えっと、お、オレは神霧アヤトだ。この退魔機関で退魔師をしてる。よろしくな」
どうやらこの少年は危険な人物では無いらしい。それがわかると私は安心して笑顔で返す。
「うん!よろしくね!アヤト君!」
私が名前を呼ぶと、アヤト君は少しだけ照れた様子を見せた。
「お、おう。よろしくな」
照れているアヤト君を見ていたら、ムラサメさんが少し真面目な顔をして話しかけてきた。
「さてと。それじゃあユウヒちゃん。早速で悪いんだけど、君を退魔機関にスカウトしようと思うんだ。そのために、まず君の答えを聞かなきゃならない」
「えっと。それって、仲間になれって事ですか?」
「うん。まあ簡単に言うとそう言う事だね。ちなみに、君には当然拒否権もある。まあそうなった場合は。君のことをここで殺さなくちゃなんだけど。こっちとしても人間の、しかもこんなに美人さんを殺したくは無いから、受けてくれると助かるんだけどね」
正直美人と言われたのは嬉しいが、殺すなんて単語を使われて素直に喜べるほど私は能天気な性格では無かった。
「こ、殺されるのは...イヤです...というか、退魔機関って何をするところなんですか?まあだいたい予想はついてますけど......」
「うーん。アヤト君の話だと。君も見ているみたいだけど。簡単に言うと。悪さをする化け物と戦うところだね」
予想的中。まああんまり当たって欲しくなかったけど。
「無理!無理です!私戦いとかそう言うのダメダメなんで」
「ハハハ。まぁ、普通はそうだよね。うん。実を言うと、ボクも戦闘はダメダメなんだ。でも、それだと君はここで死ぬことになるけど、いいの?別に戦闘じゃなくても。受付とかそう言うのもあるよ?」
「うっ...し、死にたくはないです......」
私がそう言うと。ムラサメさんは立ち上がって両腕を横に広げて喜んだ。
「そうかい!そうと決まれば話は早い!じゃあ少しだけ手続きがあるから、場所を移そう!」
ムラサメさんは私の手を握ってブンブン振ると。ドアの方へ向かっていった。するとアヤト君が私に話しかけてきた。
「はぁ...お前、あんな簡単に決めてよかったのか?」
「あ、あはは...はぁ......」
まったく、なんでこんなことになっちゃったのかなぁ...。
はい!お久しぶりです!ユウピヨです!
遅くなってスミマセンでしたm(。>__<。)m
さて、ナイトメアブラッド3話どうでしたか?
ここからお話が動き始めますよ!
次回!運命の夜part2!お楽しみにーノシ