突然:死にまして
はい、三重伊織です!
前の作品を更新してないのに調子にのって新しいお話書きました。
その日は平凡で平和という言葉が実に似合う日でした。
天気は良好。ぽかぽか陽気で、外には桜が舞い、公園では小学生が鬼ごっこをし、隅のベンチでは若いカップルが仲良くサンドウィッチを食べていました。
隣の家の犬、サクラは今日も大きな欠伸をして日向ぼっこを満喫しています。
空にはツバメが飛び、子育てのために巣を作っています。
そんな日に俺は、居眠り運転で暴走したトラックに轢かれて死にました。
最後に見たのは自分の血で赤く染まった空でした。
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目が覚めたら青い大空が広がっていた。
どうやら自分は奇跡的に助かったらしい。
「よっこらしょ、っと」
ゆっくりと上半身を起こす。一応、体のどこにも痛みはない。
ついで、自分の下半身を確認する。
足はしっかりとある。どうやら、幽霊ってわけではないらしい。
そのまま辺りを見回すと周りの光景が目に入る。
草が無造作に生い茂り、そこら中に大きな岩がある。数メートル先には広大な林が広がっていて、その少し先の空には鳥の影が見える。……え? なんかコッチに向かってきてるけど、鳥の大きさじゃない。鳥どころか、人間の5倍くらい大きいんだけど……。
近づくにつれ次第に明確になるその姿。
「ドラ……ゴン?」
物語やゲームの中で登場する怪物がそこにいた。
白い翼に青紫の皮膜、全長5メートルはあろうかという巨体を大空にはばたかせている。
それがこちらに迫り来る。
「やべっ、こっちくる!」
俺は焦りながら、その場でクラウチングスタートを切る。我ながらなかなかのスタートダッシュだと思った。
だが、ここで俺の不幸体質はその効力を遺憾なく発揮した。そう、小石に躓いてそれはそれは濃厚なディープキスをした。……地面と。
「やばい! 死ぬ死ぬ死ぬ!!!」
焦る俺。迫るドラゴン。あれ? なんかデジャブ。……あ、トラックに轢かれそうになった時もこんな感じだったな、そういえば。
「って! 冷静に思いだしている場合じゃない! 本気でじぬぅ~~」
ドラゴンと俺の距離が後2~3メートルまで近付いた時、俺は2度目の死を覚悟した。
だが、ドラゴンは俺に目もくれず、まるで何者かから逃げるように大空を駆けていった。
みると、その体にはいくつかの傷跡があり、翼には数本の矢が刺さっていた。
ドラゴンが俺の真上を過ぎていくと、はばたきによる土煙が舞う。
「ごほっごほっ、うぇ……ぺっぺっ。口の中ジャリジャリするぅ。み、水でうがいしたい……」
口の中に入った大量の砂を吐き出しながら、水を求める。だが今、俺の身の回りには口を潤してくれそうなものはない。
仕方なく辺りに川か何かないか探す。すると、先程までドラゴンに気を取られて気が付かなかったが、ドラゴンが来た林の方角から馬の蹄が地面を蹴る音と、数人の人間の声が聞こえる。
「よし、助けてもらおう」
俺は林に向けて、期待の眼差しを向けた。
お読みいただきありがとうございます。作者感激の極みです。
とりあえず、お詫びを。
前のお話の筆が完全に止まっちゃって……すいません。
あちらは不定期更新でこちらを週に2回くらい更新できればと思っています。
まぁ、優しい目で見てください。
誤字・脱字などございましたらお申しつけください。極力優しく教えて貰えると嬉しいです。豆腐メンタルなんで(笑)