どうせいつかは死ぬならば
人生は効率良く生きるべきである
ぼくは幼稚園児だ
好きなものはお菓子だ
だけどどうせお菓子ばかり食べては生きられないのだから、今日限りでお菓子は辞めよう
ぼくはお菓子を辞めた
ぼくは小学生だ
好きなものはゲームだ
だけどどうせエンディングを迎えてしまうのだから、今日限りでゲームを辞めよう
ぼくはゲームを辞めた
ぼくは中学生だ
好きなものはアニメだ
だけどどうせ三ヶ月か六ヶ月で終わってしまうのだから、今日限りでアニメを辞めよう
ぼくはアニメを辞めた
ぼくは高校生だ
好きなものは恋愛だ
だけどどうせ別れるだろうと薄々気付き始めているのだから、今日限りで恋愛を辞めよう
ぼくは恋愛を辞めた
ぼくは大学生だ
好きなものは友達だ
だけどどうせ就職すれば離れ離れになるのだから、今日限りで友達を辞めよう
ぼくは友達を辞めた
ぼくは社会人だ
好きなものは趣味だ
だけどどうせ趣味よりも仕事に時間を費やさなければ働いていけないのだから、今日限りで趣味を辞めよう
ぼくは趣味を辞めた
ぼくは人間だ
好きなことは生きることだ
だけどどうせいつかは死ぬのだから、今日限りで生きることを辞めよう
辞めよう
すべて辞めてしまおう
好きなだけお菓子を食おうが
好きなだけゲームしようが
好きなだけアニメを観ようが
好きなだけ恋愛しようが
好きなだけ友達と遊ぼうが
好きなだけ趣味に没頭しようが
どうせいつかは不必要になり、結局は忘れてしまうのだ
どれだけ好きに生きても、最後には必ず死ぬのだ
無駄なことはすべきでない
人は死からは逃げられない
ならばぼくは死ぬしかない
死のう
いや、やっぱり死にたくはないな
どうせいつかは死んでしまうんだが、そんなのは、いつかの話に過ぎない
いつかというのは、今じゃない
いつか死ぬとしても、今は生きている
いつか死ぬのならば、今死ぬ必要はない
いつかを今に縮めることはない
今死ななければならない理由はとくにない
今はまだ生きていてもいい
死ぬのはいつかに任せればいい
だからぼくは生きることを辞めない
辞める理由が未だないのだから、辞めない
辞めたくない
だからぼくはまだ死なない
ぼくは生きていく