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第一章 capter-3   「根底にあったもの」(3)

「まぁともかく、ダリゼルディス先生が引率ならば問題はないだろうと思う」

 薮崎は少し考えてから搾り出すように声を出す。

「理性的に考えてここからどうなるかだが……それは俺にも分からん。……ただ、いつ何があってもいいように色々と難しくなるので各自戻ったら家でとりあえず荷物の方だけ纏めて頂きたい」

 自分でも考えあぐねているのか、そう話してくる。

「……一つだけ聞くと、今回のイベントで出席日数は削られませんよね?」

 そこで一応ながら、須賀谷は聞いておく。流石にもう渡辺のような後任が来た訳ではないだろうが心の中に僅かながら出席日数という心配が出たからだ。

「無論だ。公欠届けとして申請しておくのでどうしようとも休み扱いにはならん」

「あぁ、それならばよかった」

 安心の一言を受け、ほっと胸を撫で下ろし息を吐いた。これなら問題はないという訳だな。

「それではまずリーブラ鋼の入手……そして先行偵察が業務になりますね。向こうの都市、朝霞入りは順やイフットと同じくらいでいいと思いますが……陸路で此処からだと二日は掛かりますよね?」

「あぁ。だがそれについては問題ない。大型運搬機を調達したからな」

 薮崎は手振りをしながら告げる。

「大型運搬機? 私は知らないぞ」

 横からその声に反応したのは、順だった。

「あぁ、君が奔走していた時期に作っていたマルクカさんの新作だ。メイン搭乗者の魔力をそのまま動力に直結し、それを推進に使うという魔導ビークルだよ。うちの篝火を補助的に助手席に乗せることでコントロールが楽になる。全長16mで何人かが過ごせる居住空間もある、大量に物を積み込んだ状態で俺が動かしても35ノットは出せるから、各自が馬で行くよりはいいと思う」

「……マルクカさんって、学問の専門はなんなんですか?」

「再生エネルギー機構ですが、工学の勉強は昔から趣味でしていたのですよ」

「へぇ……」

「ともかくこのマシン……仮にはシックザールと開発コードでは命名していたのですが、これはやはり搭乗員の力に左右されます。写真をどうぞ」

 言われてマルクカさんが部屋の奥に入り、持ってきたパンフレットを改めて取る。

 それを見ると赤い大型のマシンがあり、拠点としての機能も持てるとかなんとか理論上は2935馬力は出せるとか色々な事が書いてあった。

「これの武装は? この最近の情勢である以上は迂闊に外に出ると野生動物にしろ強盗にしろ襲われることも考えられますが」

「単体では持ち合わせておりませんが、甲板にでて頂くことで魔法使いの皆様による直接攻撃が可能です。ただ、機体そのものには魔導シールド機構を搭載しているので多少速力を落とす代わりにマシン前部に流体シールドを張ることが可能になります。……あと最終手段として、機体後部に緊急離脱用ブーストポッドを採用しました。メイン動力となる搭乗者を複数用意することで魔力を直列でつなぎ短時間ですが、倍以上の速度を出すことが可能になります。……無論魔導コンバーターとの相談も要りますがね」

「水上適正は?」

「……残念ながら、ほとんどありません。ホバーによる移動は可能ですが何らかのトラブルで魔力供給が絶たれると沈むので機密性の問題から浸水します。よって推奨はしません」

「見掛けは格好いいですが、まだまだ性能面では問題がありそうですね……」

「重々承知はしております。ただ、随時改良を行っているので素材さえ集めていただければ幾らでもアップデートはするつもりです」

 マルクカはそう告げると自らの長い髪の毛を揺らし、この世界には私の知らない物質もまだまだ多いですので、と続けた。

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