第三章 capter-2 「クイック・ライダー」(1)
『さぁ次の試合は、従兄妹同士の試合ということになります! 中堅 群雲 順 対 大将、レオカディオ・アロンソ・ムラクモ!』
アナウンスが流れる。
「接待の必要は無さそうだなぁ、順!」
「私が止まっていた間……お前は成長したようだな、アロンソ」
フィールドの壁の補強が済み、二人は相対する。
順の方はいつものように平静な態度を取ろうとしているが、まだまだ相手の力を測りかねているようだ。
「あたりめぇよ。空を飛ぶには安定感が必要だ。まだまだ自分じゃ天井とはおもえねぇが、相当センスを磨いたぜ」
「……そうか、だからブレイズクレイドルなのか」
「あぁ、そういう事だよ」
二人は意味深な会話をする。
「……どういう事だ? 話の意味が分からない」
二人の話についていけず、須賀谷は篝火に補足解説を頼む。
「ブレイズクレイドル以外にも、幾つかマジックボードのメーカーはあるんですよ。とにかく頑丈で初心者向けな楓コーポレーション、ハンドリングに優れたイースタンインダストリー、アジリティに秀でる朝日魔道機器……その他にも色々あります」
「……では、ブレイズクレイドルは?」
「バランスを崩した時の失速率も多く操縦性が劣悪ですが、魔力を推進回路に回す効率が他社より秀でていてトップスピードは他を寄せ付けない、特性としてはそんな感じです。恐らく技量への依存度は他社と比較しても高いでしょう。後はオーバーテイクボタンの性能も相当高いといったところでしょうか」
「ただのモンスターじゃねぇか……」
「ええ、事実私が調べた情報ではアロンソさんが契約する前のブレイズクレイドルは操者が誰もマシンについていけずレースの度にクラッシュするようなところでした……それが、表彰台常連になったという時点で彼のマシンを乗りこなすセンスとバランス感覚は、人並みをこえています」
「……成程、だがそのセンスは戦闘にどう生きるかだが……」
「順さんが警戒している時点で一筋縄ではいきませんよ。……我々は落ち着いて、見守りましょう」
そう話している間にも、二人は構えをとる。
順は制服のまま一振りの太刀を持ち、アロンソは……三又に先が分かれた槍を装備する。
「おめぇが剣でくんならこっちも本気で行かせてもらうぜ? 地上の機動力じゃお前にゃ勝てねぇからよ」
そう言いながらアロンソは自前のマジックボードに飛び乗り、その場から静かに浮遊する。
「……好きにしろ」
順はそう不敵に笑うと、歯を見せて言い切って見せた。




