第三章 capter-1 「アメイジング・ライダー」(7)
「グォォォォォァァァッ!」
クリムゾンノヴァがファイアーブレスを吐き、スコーピオンを炎の海に閉じ込める。
だが熱そうな素振りも見せない天月院は、そのまま前進をする。
「炎そのものが効かないのよ! 大小の問題じゃない! ……もらったぁ!」
天月院は難なくその炎を突破し、クリムゾンノヴァに向けてスコーピオンの鋏を振り下ろす。
「まずい、あの一撃を受けたら魔獣とはいえ!」
順が顔色を変えてそう言った瞬間ガキィンと金属を叩いたような大きな音がしたが、その鋏はクリムゾンノヴァの皮膚を切り裂けずにはじかれた。
「何?」
順にとっても、読み違いのようだ。
「なんて固い皮膚なの!?」
あまりの防御力に天月院が表情を変え、さらに追撃をしようとして目の前の光景に息を飲んだ。
「あの女がいない!?」
クリムゾンノヴァの上に、イフットがいない。須賀谷も見失ってしまい、周りを見る。
「何処へ消えたの!? あの女は!?」
天月院がコクピットから立ち上がり、左右を慌てて見回そうとすると……。
「私は既にプロテクションハードスティールをクリムゾンノヴァに発動していた……!それが見抜けなかった時点で貴女の負けよ」
後ろからいきなり天月院の腕を捻りあげ、イフットが耳元で囁いた。
「んにゃ!? コクピットの中に入ってくるなんて……何処から入ってきたの? 離しなさいよ! 馬鹿!」
「ハサミの上を走ったに決まってるでしょ! 離すもんですか! 引きずり出してやるわ……!」
「この、降りろってば! このマシンは一人用なの!」
「だったら貴女が下りればいいでしょ!」
「ひぃっ!」
そのまま天月院の首を掴み、縺れるようにしてから一緒に地面に落ちる。
「私だって格闘は士亜に負けないくらいはあるもの……上手く間合いに入ればこっちのものよ! クリムゾンノヴァ!」
しれっと嘘をつくな。お前の方が強い。
「ギャァァァゥ!」
イフットの声に反応し、クリムゾンノヴァは搭乗者を失ったスコーピオンの腕に噛み付くとそのまま右腕を噛み千切り、蹴倒して横転させる。
「ああぁぁ! あれ高いのに! 怒られちゃう!」
天月院の悲鳴が上がる。
「降参するなら今のうちだよ……? クリムゾンノヴァは手加減をしないから修復不可能になっても知らないよ?」
地面に組み伏せられた天月院は悔しそうな顔をするが、このままではどうにもならないことを悟ったらしい。
「こんな負け方……あるもんですか。勝ちは譲ってあげるけど今回は私が負けた訳じゃない……スコーピオンの性能不足よ。それとしか考えられないわ」
程なくしてギリギリ歯軋りしながらギブアップを明言し、自分の負けを認めた。




