第二章 capter-3 「血と心」(3)
「それでは取り合えず馬鹿な振りをして地下を探る……それで取り敢えずはいいな」
「あぁ、構わんよ、順」
「了解です」
イフット、順、須賀谷と三人で話合った結果、建物の内装を調べる為にまずは地下を探るという事が結論になった。
「いざという時に道に迷うでは話にならないからな。歩くことで色々調べるというのには意味がある」
順は先頭を切りながらそういうと、地下へのエレベーターのスイッチを押した。
……地下、一階。
「これ、階段で行ったほうがいいんじゃないか?」
「帰りは階段を使おうと思っていた。だってさ、偽装エレベーターかもしれないだろ?」
「……なるほど」
そんな無駄話をしている間にエレベーターが止まり扉が開く。
「……成程、遊技場か」
「チェスやらショーギのセットから……確かに部屋の隅には言われたとおりダーツとかもありますね」
「ぐるっと見てから行こう」
順がそう言った瞬間、スパンという大きな音がした。
「……この音は……ほぅ、弓道場か」
興味深そうな表情をした順は音が聞こえた方向にふらふらと歩き出す。
「あ、順さん!」
「おいおい……全くしょうがない」
勝手に歩き出した順の後を二人は追いかけ、弓道場の近くにまで来た……。
「せぇぇい!」
スパンっと小気味良い音が的を貫く音がする。
ぱちぱちぱち。
「これで7発皆中か、素直に凄いな」
順が賞賛をすると視線の先ではポニーテールに結んだピンク髪の女子生徒が弓を持っている。
「彼女はロデオ流鏑馬のプロよ、ああ見えてもね」
するとイフットが知っていたのか、そう教えてきた。
「ロデオ流鏑馬? なんだそれは?」
「いわゆるガタガタ揺れるハードな流鏑馬の事だよ」
訳が分からなかった須賀谷に説明するように順が言ってくる。
「へぇ。しかし小柄な体格なのによくやる……」
言われて須賀谷もほぉーと感服していると、
「胸があると弦に当たって痛い。肩幅があればそれはそれで弦を引く威力は増すが……身体が小柄なら小さい弓を使えばいいのでな、弓道は体格の良し悪しで中々決まらないんだ」
さらに横から順が話してきた。
「マジな情報か、それ。弓の弦は胸に当たって痛いって。大変だなそれは」
「あぁ、知り合いが言ってた。その為の胸当てなんだろうけどな。……しかし後の話じゃなくて先のほうに食いつくとはお前も男だな」
「まぁあの体格なら当たりそうもないがね。……そりゃ男ですもん」
「そうだな、うん」
どうでもいい話に花を咲かせていると、そのピンク髪の女子生徒がこっちに気が付いてずかずかと歩いてきた。
「……ちょっと!」
「んぁ」
「黙って聞いてりゃ人が小さいだのなんだの、調子こいてんじゃないわよ! ぶちっとストレスでイラなうきた! ぶちのめしてやるわ!」
どうやら声が大きかった模様だ。
「……む」
順が妙な声を出す。
気が付けば他の弓道部員らしいものに……10人くらいに囲まれている。
「しかもうちの制服じゃないって事はスパイにきた他校ね? 囲んでゴミ捨て場に投げ捨ててやるわよ!」
怒り心頭のようだ、どうやらコンプレックスに触ってしまったらしい。
「……どうする、順?」
「……事は構えたくないがなぁ」
順は少し口元を歪め、困った顔をした。




