第二章 capter-1 「シックザール」(5)
「さて、まずは何処に行くんだ? 俺達はさ」
再度ハンドルを握った順に後ろから話し掛ける。
「遺跡に先に行かせて貰いたいな。個人的には鉱物の採取を優先することでマルクカに対する負担も和らげたい」
順は振り返ってそう言うと、シックザールを始動させる。
「あいよ。こっちも了解だ」
ダリゼルディスもひときしり眺めていた色紙のサインを棚に仕舞うと機嫌良さそうに返事をし、頷いてみせる。
「それでは進路を朝霞のミストエリアに取る。途中で賊が出るかもしれないから皆、一応周囲に対して注意だけはしていてくれ。私は運転に集中するからな」
順は少し方向を転換させると、シックザールを巡航速度まで加速させた。
並みいる貧相な木々を横目に走るシックザールは、次の朝にはミストエリアにへと着いた。
「ダリゼルディスに書類は渡した。私は少し寝ているからあまり起こさないでくれ」
順はシートの下から毛布を出すと到着して早々、横になってしまう。
「疲れているだろうからな、しょうがない事だよ」
ダリゼルディスは苦笑いをするとそんじゃ行くかといい、須賀谷とイフット、篝火二号に促した。
「了解」
「一応タマチルツルギは持ってきてますが……この辺の原生生物は相手をして大丈夫ですか?」
「まぁ止めて置いたほうが無難だな。私は戦えるが須賀谷、お前はイフットの後ろに隠れていたほうがいい。死にたくなければ」
「……ちょっとその言い方は、酷くないですか?」
「理由を言わせて貰うとこの辺にはペーパーゴーレムがいる。その紙という特性を生かしたゴーレムに有らざるレベルの高速移動と切断のプロだ。いくら鎧を着た人間とはいえ動脈をやられたら大量出血も免れないから接近戦を挑むよりはイフットに燃やしてもらったほうが早いのさ」
「……そういう理由なら、納得はしますよ。言葉足らずにならないでください」
「言うねぇ。最初に会ったときは凄く畏まっていたのに、結構強気になったじゃないか」
「僕だって、ただの盾じゃないです。対ビームマントも順に貰ったし、一撃二撃なら……」
「そのマントは物理に効果無いよ、士亜」
「……マジか?」
「うん」
「じゃあ大人しくしているよ、しょうがないから」
くそっ、恥ずかしい。
「万が一の時は棺桶にでも入れて私が背負いますから大丈夫ですよ」
篝火がそういうが元よりそんなつもりは無い。
「お前こそ大丈夫なのか?」
「火炎放射機なら射程20メートルのを右腕に積んでますので心配無用です」
「それじゃ悔しいけど……俺が一番この中で弱いみたいだな」
「分かったら静かにしていて下さいね」
「今は言われるままにしてやるけど……俺だって強くなってやるさ。そのうち追い越してやるよ」
「その時を楽しみにしています」
少し煽りにいらっときつつも、自分の実力不足は確かなので黙る。
……今にみていろ。
このままでは粋がる子供だが、俺だって戦えるところを見せなくちゃ。




