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夢と生徒会長

 



何処かの王宮らしいその場所で、王子であろうその男は俺を少し悲しい瞳で見た。綺麗な栗色の髪が儚げに揺れる。


「姫、大丈夫だよ。僕が君を守るから大丈夫だよ」


俺はその言葉に泣いてはいけないと無理やり笑顔をつくる。もう彼が戻って来れないであろうことはわかっていた。


「はい、お待ちしております」


そう笑えば目から雫が伝った。ああ、泣いてはいけなかったのになんて私は弱いのだろう。彼に悲しい顔をさせてしまった。


「ごめん、ごめんね」


彼は私をそっと抱きしめてそう言った。どうして、私はこんなにも弱いのだろう。どうして彼を守れるほど強くないのだろう。私は強くなりたい。


――――あなたを守れるくらい強くなりたい。



ゆっくりを瞳を開けた。目の前の壁と窓にここが教室なのだと気づく、なんだか頬が冷たく感じて手で触れてみれば涙だった。小さく舌打ちする。まただ、また同じ夢を見た。


ゆっくりと立ち上がり、教室から出ようと扉に向かう。なにかをいう教師の声が聞こえたが気にせず中庭を目指した。


入学して三ヶ月経ったが、とくに中学のころと変わりはない。変わったことといえば、変な夢を見ることぐらいだ。別に夢を見ることはいいのだが、毎回、泣くのだけはなんとかしていただきたい。やはり男としてのプライドはある。あれ?てか夢のときって俺、女じゃね?もう男のプライドもなにもあったもんじゃないな。


「あれ?姫路くんじゃん。こんにちはー」


突然、声がしてそちらを見ると茶髪の知らない男がいた。思わず、怪訝な顔をするとそいつは面白そうに笑う。ああ、姫路くんは僕のこと知らないのか。そう呟いて俺に向き直る。太陽の光できらりと光った髪に一瞬、王子のようだと思った。


「俺は伊藤 和哉っていうんだ、よろしくね」

「ああ、どうも」

「姫路くんは授業はサボりなのかな?」

「そういうアンタもサボりなんじゃねぇの」


そうなんだよねーっと伊藤がへらりと笑う。なんでも見透かしたような瞳と、それに悪い気があまりしていない自分に気づいて、少し腹が立った。聞きたいことは山ほどあるのに、ペースは伊藤にあり、質問をすることはかなわない。


「ねぇ、俺のこと見たことない?」

「ねぇけど」

「なんだー…俺、有名人なのに」


有名人と聞いて、モデルや俳優が浮かんだ。彼のルックスならばどちらも違和感はない。考えるように彼を見つめれば、視線に気づいた彼はまた、笑う。


「そんな考え込まないで。有名人ったってこの学校でだけだよ。」

「この学校」

「そう、俺は生徒会長なんだ」


にこりと微笑む彼に驚いちゃうでしょと言われて、俺は思わずふき出した。


「生徒会長なのにサボってんのかよ、ずげー学校だな」

「でしょ。俺、生徒会長って器じゃないんだよね」


そう言えば彼はまたへらりと笑いながらそう言う。不思議と仲良くなれるかもしれないと、俺は心の中で思っていた。それは喧嘩もするし授業もサボるような問題児の俺を咎めたりしないように思えたこともあるが、なにより彼と話すのが少し心地良かったからかもしれない。


「俺の名前を知ってたのは生徒会長だからか」

「それは違うよ。生徒会長って言ったってそんな生徒全員の名前を覚えてるわけないじゃない」


それじゃなんで、聞こうとして伊藤は笑う。へらりとじゃなくて真剣に。一歩近づいて来た伊藤に後ずさる。近づいた距離が不気味だ。


「君がね、気になったからだよ」


ぞわっと悪寒がした。え、なに伊藤はそっち系なのか!?急いで伊藤を見れば、予想とは反した顔で心底面白そうに笑っている。爆笑、この言葉がぴったりだと思う。


「冗談なんだけどね」


焦ったでしょ、そう言ってけらけらと笑う伊藤が腹立たしくて、叩こうと手を振り上げる。さらりと避けた彼は本当におもしろそうに笑う。


「うちの生徒会の子にさぁ、姫路くんのファンがいるんだ」

「は?」

「だから、生徒会に来てあげてよ待ってるからさ」


それに俺も君に会いたい、そう言われてまだそんな冗談を言うかと彼を睨めば伊藤はまた笑う。


「本当に今も昔もかわいいね」


そのままへらりと笑うと伊藤は去っていった。なんなんだよ、いったい。


これが俺の日常の変化の始まり。


 



とりあえず!ここまで

てかヒロインが出てない…つぎっ、つぎ出しますからあああー!!


よければ次も読んでください!

ここまで読んで下さった方、ありがとうございましたっ!!!


 


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