金曜日。杏、見つける。
時計は2:17を指していた。
不思議なものだ。
あんなにどうしようもなかったのに、
あっという間に涙が止まることがあるなんて。
わたしは顔を洗おうと台所に立つ。
しかし蛇口を持ち上げる加減を間違えたらしい。
あっという間に水が吹き出た。
「っ!」
バシっ!!
止めたはいいものの、今度は腕が横の調味料棚を大きくノックしていた。
「っ!!、」
グラグラっ、!
、、、、ピタ。
「ふぅ、、、。」
なんとか大惨事は免れた。
ふと、わたしは気づいた。
調味料棚の後ろに隠れていた薄焦げた透明な瓶に。
思わず手が出た。
でも引っ込めた。
これはきっと。
気づかないふりをするほうがしあわせなときもある。
私はずっと
、、、、、
そうやって生きていくの?
ひんやりとする。
一気に腕が重くなった。
深呼吸して、
蓋を捻った。
中には
白い袋。
長い長いアルファベットと数字
震える。
知ってしまうかもしれない。
わたしはポケットから携帯を出し、アルファベットを打ち込む。
なかなかうまく入ってくれない。
『見ちゃいけない。』
と誰かが言う。
『あんたにんな責任とれないんだから。』
誰かが言う。
誰かが言う。ずっと聞こえる。
でも。
でも。
聞こえるんだよ。
それよりもずっと大きな声で。
「助けて」って。
さらに奥にあるガラス瓶の。
錆びた釘ひとつひとつから。