木曜日 雨上がり
雨上がり
電灯に照らされて
浮き上がる深緑の葉
かえるの鳴き声
立ち込める土のにおい
喉から胃へと抜ける少し重い風
、、、、、
すきだな、、、
ーーーーー輝かしい太陽。
ただただ眩しい。
反射するグラウンドは、波を打って干上がり、風がそれを追いたて、どこまでも続く青い空を背景に立ち込める砂埃は、
目に痛い。
我先にと こびる葉っぱ、むき出しの枝に、熱い熱気、
みなざわめきを無視する。
、、、だからって雨がすきなわけでもなかった。
激しい雨。
にじむ道路。
葉は泣き、全ての音を消し、
流す。
みなが自分を守るのに必死で。
映す鏡。それを湛える地面。
閉じ込められた。
そんな感覚。
息苦しくなって、
はって息をついた時、。
ーーーーーあの景色がでてくるんだーーー。
晴れてもない。
雨でもない。
だだ止んだだけ。
時計が止まり、
世界が止まった。
こんな感覚。
人が呼吸している音が聞こえる。
僕も息していることに気づく。
、、、すきだ、と思う。
、、、
、
なのに
ザァーーーー
冷たい雨
また降ってきた。
18:48
「じゃあ、ばいばい、杏、また明日ー。」
「うん、じゃあね~。」
今日は日直だ。すっかり忘れてたけど。
黒板を消して、黒板消しを持って外に出る。
クリーナーでも綺麗になるけれど、放課後外で叩いて完全に綺麗にするのが日直の仕事だ。
あ、雨止んでる。
土砂降りの跡のぬかるんだグランドのため、部活生は自主練か、帰宅したかのようだ。
波打ったグランドだけが残されている。
白いチョークの粉が舞い、風にあおられる。風向きが悪いせいか、全部自分にかかる、
「まっしろじゃん、。」
だれもいないグランドに自分の声だけがこだまする。
言葉にしたら、現実になりそうで。
あたしは慌てて教室へ戻った。
日誌を書いて、日誌ボックスへ入れる。
「~と思った。」エンドを4行書いただけで、もしかしたら同じことを繰り返し書いてしまったかも
しれない。
慌てて時計を見たら19:30を回っていた。
つい、バスの時刻表を開く。19:30ちょうどのがあり、出てしまったはずなので、見る必要もないのに。
誰が見てるわけでもないのに。
次の便は、20:20。
それまで、教室で宿題でもしていよう。
ページを開く。が、いっこうに進む気配はない。
このXどうするんだっけ、、、。
、、そういえば。
結局あの数学のテストの正解はなんだったのだろう。
どうして、
あのとき、、、、、、
っ、、、!
時計はすでに20:15を示していた。
もうでなきゃ。
教室を出て、走り、下駄箱へ行き、坂道を下ろうとしたその時、
あっ、電気消し忘れた!!
みれば、煌々と光るわがクラス。
のろのろと私は肩を落とす。
次のバスは、、、、21:00、最終だ。
今度こそは、とりあえずまじめに宿題用紙全問にあたりながらも、ちらちらと時計を確認する。
20:55。今度こそ電気を消して、10分早めにバス停へ向かう。
部活生もとっくに帰省しているし、三年生も明日一斉テストとかでいないようだ。
先生たちだって職員室に数名いる程度だろう。
真っ暗な廊下を急ぎ足で歩く。窓からのわずかな明かりだけがたよりだ。
上履きを脱ぎ、ローファーをはき、靴を入れ替える。
ぬれた地面に足跡をつける。
いや、
追う。
ついた。
あとはバスを待つだけだ。
、、、、
、、、
バスは遅れているようだった。
21:05になってもやってくる気配はない。
代わりに、、、
ザァーーー、、、
、、、、、、雨、だ。
傘もってない、、
これくらいなら、、という程度だったが、
さらに1,2、、、、、5分経っても、、、こない。
さすがに制服はずっしりと濡れ、重くなってきた。
言葉には出さない。
髪から水滴が落ちる。
言葉には出さない。
鞄に荷物、、筆箱だけでよかった、。
そう、言葉には出さない。
ね、
バス、、、、早くきてほしい、
それだけだから、
早く、、、
お願い、、、
「佐井田さん、、?」
言葉に出してないはずなのに
耳になじんだ声が聞こえた。