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第13話 戦闘服設計実習

前書き


力は、生身のままでは扱えない。

強さを引き出すには、それを受け止める“器”が必要だ。


それは武器じゃない。

鎧でもない。


――強能力者が、自分自身を制御するための「もう一つの身体」。


今日は、その第一歩が与えられる。

第13話 戦闘服設計実習


教室に入った瞬間、いつもと違う空気を感じた。


前方には巨大なケース。

壁際には見慣れない装置が並び、天井からはホログラム投影機が下がっている。


「なにこれ……」

「実習?」


ざわつく教室を、担任の先生が一言で黙らせた。


「着席しろ」


全員が席につくのを待って、先生は黒板に文字を書く。


《戦闘服設計実習》


「今日は、強能力者には欠かせない“戦闘服”を作ってもらう」


一瞬の静寂。

次の瞬間、教室が爆発した。


「え!? 戦闘服!?」

「マジでヒーローのやつ!?」


先生は少しだけ口元を緩める。


「勘違いするな。

戦闘服は“格好つけるため”のものじゃない」


ホログラムが起動し、立体映像が浮かび上がる。


「能力制御、身体保護、悪魔との同調補助。

強能力者が生き残るための装備だ」


その言葉に、教室の空気が引き締まった。


一人ずつ、解析が始まる。


能力、悪魔、戦闘傾向。

それらを基に、最適な戦闘服の設計データが表示されていく。


そして、リクの番。


映し出されたのは――

和風の羽織だった。


動きやすく設計された布。

精神集中を高める紋様。

派手さはないが、静かな強さを感じさせる。


「渋っ……」

「似合いすぎだろ」


リクは少し照れたように笑う。


「なんか、落ち着くな」


先生が頷いた。


「精神安定型。

無駄な出力を抑え、安定した戦闘を可能にする」


そして、俺の番が来る。


中央に立つと、バッグの中からヴォイスが顔を出す。


【ヴォイス(テレパシー)】

「さて、どう出るかな」


解析光が走り、画面が切り替わる。


映し出されたのは、近未来的な戦闘スーツ。


黒を基調に、細く青いラインが走る。

軽量・高機動型。


そして、顔の部分には――

LEDライトの仮面。


表情の代わりに、光で感情を表現する構造だった。


「うわ……」

「完全にヒーローじゃん……」


教室がざわつく。


先生は画面を見つめ、静かに言った。


「顔を隠すことで感情のブレを抑え、

音と精神状態を同期させる設計か……理にかなっている」


だが、すぐに視線が鋭くなる。


「月城」


「はい」


「正直に言う」


教室が静まり返る。


「お前の“音”の能力には、事例がない」


胸の奥が、少しだけ冷えた。


「記録にも、過去にも一致する型が存在しない。

だから――」


先生ははっきり言った。


「一から作れ」


どよめきが起こる。


リクが驚いた顔で俺を見る。


バッグの中で、ヴォイスが小さく笑った。


【ヴォイス】

「光栄だな。前例なし、だ」


その瞬間、胸の奥が鳴った。


――ビィン。


低く、細い振動。

音ではないのに、確かに“響いた”。


思わず息を詰める。


LED仮面の設計データが、鼓動に合わせて明滅する。


【ヴォイス】

「今のだ。

それがお前の“音”の核だ」


俺は拳を握った。


怖くないわけじゃない。

でも――


(誰も知らないなら、俺が作る)


先生はその様子を見て、わずかに頷いた。


「期待しているぞ、月城」


授業の終わり。


「今日作った設計は、これから一年間使う“基礎”になる」


一年間のペア制。

一年間の訓練と戦い。


リクが小声で言う。


「和と未来、並ぶと変だけどさ」


「悪くないだろ」


「むしろ最強じゃね?」


俺は、仮面の映像を見つめながら思った。


この戦闘服は、まだ未完成。

俺自身も、まだ途中だ。


でも――

確実に前へ進んでいる。


誰も知らない音で。

俺だけのやり方で。

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