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第11話 音の余韻

力を振るうということは、

誰かを守ると同時に、自分自身を削ることでもある。


正しさだけでは立っていられない。

強さだけでも、前には進めない。


これは、月城 響が

“強能力者”という存在の重さを、初めて知る物語だ。

第11話 音の余韻

倒れた一人の敵を横目に、残る二人が距離を取った。

その背後で、歪な気配を放つ悪魔がうごめいている。


「……おかしいな」

先輩の一人が小さく言った。

「契約が、安定してない」


敵の悪魔は、主の言葉を待たずに動いていた。

まるで、人間を“使っている”かのように。


【ヴォイス(テレパシー)】

「響、あれは対等な契約じゃない。

悪魔が主導権を握っている」


俺は喉の奥が冷えるのを感じた。


敵が叫ぶ。

「黙れ! 力をよこせ!」


次の瞬間、強烈な衝撃音が走った。


俺は反射的に音を操る。

――だが、視界が揺れた。


(……まずい)


耳鳴りがひどい。

音が、遅れて聞こえる。


【ヴォイス】

「響、これ以上は危険だ! 制御が――」


そのとき、前に出たのはリクだった。


「下がれ、響!」


リクとその悪魔が、敵の動きを止める。

先輩たちも一斉に展開し、包囲を完成させた。


「一人で背負うな」

先輩の声が飛ぶ。

「連携しろ!」


俺は息を整えた。

破壊じゃない。

今必要なのは――止めること。


【ヴォイス】

「……分かったな、響」


俺は小さく頷く。


次に出した音は、低く、静かだった。

空気を揺らすのではなく、音そのものを抑え込む。


――シン……。


敵の動きが止まる。

悪魔の咆哮も、完全に封じられた。


「な……に、した……」


そのまま、先輩が拘束を完了させる。


戦闘は、終わった。


しばらくして、周囲は静けさを取り戻した。

助け出された人々は、安堵の表情を浮かべながらも、

俺たちを少し距離を取って見ていた。


怖がられている。

それでも――


先輩が言った。

「……それでも守る。それが強能力者だ」


帰還の連絡が入る。

校長の声は冷静だった。


『今回の敵は、組織の末端にすぎない』


その言葉が、胸に残る。


帰り道、ヴォイスがぽつりとつぶやいた。


【ヴォイス】

「……この世界、思っているより騒がしいぞ」


俺は空を見上げた。


(月城 響――

俺は、この音と共に、どこまで行くんだろう)


初任務は終わった。

だが、本当の戦いは――ここからだった。

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