第一話 悪魔との契約
人と悪魔は、ともに共存する術を磨いてきた。
この世界では、人間と悪魔の家系は生まれた瞬間からつながっている。
人間が生まれれば、対応する悪魔も必ず同じ日に生まれる。
そして10年後、10歳になると彼らは運命の相手と出会い、契約を結ぶ——これが、この世界の常識だ。
契約を結んだ者は、人間悪魔、通称“じんま”と呼ばれる。
じんまは能力の種類によって役割が決まる。攻撃系の力を持つ者は希少で、強能力と呼ばれ、人々を守る存在として期待される。
つまり、この世界では、じんまとして生まれた者は、やがて戦う守護者としての運命を背負う——。
第一話 悪魔との契約
僕が生まれた世界では、悪魔と契約するのが当たり前だった。
人間と悪魔は家系でつながっていて、僕が生まれたとき、どこかで僕の悪魔も同じ日に生まれていたらしい。
幼い頃はそれが普通すぎて、特に意識したことはなかった。
みんながもう契約して力を使い始めている中、僕はまだ普通の子どもだった。
でも、街で悪用される契約者の騒ぎを見たりすると、なんだか胸がざわついて……
‘僕もいつか、人々を守れる強能力になりたい’、そう思っていた。
そして10歳の誕生日。
僕は運命の悪魔パートナー、音の悪魔‘ヴォイス’に出会った。
契約が成立した瞬間、空間に無数の煙が立ち上がり、音の振動が身体中に響いた。
その瞬間、僕は初めて自分の力を実感した。
それだけじゃない。僕が持つ力は攻撃系で、希少なものらしい。
社会の人々は、こういう能力を持つ僕たちを強能力と呼ぶ。
つまり、僕は……ヒーローになるべく生まれてきたんだ。
契約してから数日が過ぎると儀式の疲労が取れヴォイスと話すようになってきた僕の悪魔、ヴォイスは静かに僕のそばにいる。
力は少しずつ分かるようになってきた。音を操る感覚も、煙と共に自分の力として感じられるようになった。
家族は、僕を少し誇らしそうに見ていた。
‘じんま’として生まれ、攻撃系だから強能力になるかもしれない——それが僕にかかる期待だ。
僕も自覚はある。でもまだ10歳の僕には、全てを理解できるわけじゃない。
街を歩くと、他の人魔も見かける。皆、同じように10歳で契約して力を持っている。
強能力候補もいれば、まだ小さな力しか扱えない者もいる。
この世界では、僕たちは普通の子どもではいられないんだと、少しずつ実感する。
ヴォイスと一緒に練習を重ねた。力はまだ完璧じゃない。振動で小さな物を浮かせたり、音を震わせたりするだけで精一杯だった。
でも、この感覚を忘れたくはない。僕が守るべきものは、まだまだたくさんある。
12歳になると強能力者は烈人という災害やトラブルから守る強能力者になるための試験がある。
緊張はするけれど、楽しみのほうが大きい。これから始まる僕の道を、僕は確かに歩き始めれるような気がした。
けれど現実は甘くなかった。強能力者は強いがゆえに周りからは冷たい視線で見えられ、まだ力の入れ方がわかっていない。そこで両親は沢山の強能力者に合わせてくれた。力の出し方や制御の仕方などを教わった。
能力で‘‘音‘‘というのは前例がないらしく教えてくれた先生たちはいつも首をひねっていた。
契約を終えて2年が経過した。僕は、編入生として訓練学校に向かう。
入学試験では、力だけでなく、心の強さも試されるらしい。
でも、僕は怖くなんてない。
これから、僕は人々を守る強能力として、ヒーローへの第一歩を踏み出す——。
第二話では編入試験の話になります。
質問があれば気楽にお声掛けください。




