6 集結
「予想外?」
「醜貌妖精です」
「……なるほど、それは予想外だな」
アルザーはそう言うと弓の手入れを再開しようとしたが、
「一つ、聞いていいだろうか」
「ん?ああ、なんだ?」
アクレイの問いかけに再び手を止める。
「醜貌妖精とは?ルフォと言うことはあれも妖精族なのか?」
その問いにアルザーはうなずく。
「醜貌妖精と言うのは俺たちが今戦った醜貌人の亜種だ」
「醜貌人が人が『歪み』の力で変貌したとされる魔物ですが、醜貌妖精は妖精族が『歪み』によって変貌した姿だと言われています」
アルザーの説明とビアトロの補足にアクレイはうなずく。
「なるほど、だから魔法を使ってきたのか」
「厳密には精霊術ですがね」
「違うのか?」
「似て非なるものです」
アクレイの疑問にビアトロは首を振って答える。
「人間の魔法使いが使う魔法というやつは妖精族が使う精霊術を研究して編み出されたもの。ひとまとめにされては妖精達としては面白くあるまい」
「……そうか、そうだな」
アルザーの指摘にアクレイはうなずく。
「醜貌妖精は何かしらの理由で住処を追放され、行き場を失った妖精族がなるとされている。
……どこかから流れて来たか」
そう言いながらアルザーは弦の張りの確認を終わらせる。
「その話はまた後です。仕事はまだ終わってはいません」
「ああ」
ビアトロの言葉で彼らは会話を打ち切り、矢の回収や罠の後始末を終えると森の奥に向かう。