48 商機
「よかった……あ、そうだ!」
アルザーの言葉にラトは表情を緩めるが、何かを思いついたか一転して笑みを浮かべてルアンスに近寄り、
「ねえ、あなたもビアトロさん達といっしょに仕事するんでしょ?」
と、先程の警戒ぶりを感じさせないにこやかさで話しかける。
「ああ」
「旅支度はしてある?」
「む、いや、まだだが」
それを聞いたとき、ラトの表情がさらにほころぶ。
「じゃあここでしていかない?ビアトロさんたちと一緒ならお値段安くできると思うし」
「お主は一体?」
突然の提案に目を白黒させているルアンスにビアトロが答える。
「この子はここ、スリエード商会の娘さんです、そして物資の調達面で私たちを助けてくれています」
ビアトロにそう言われ、ラトは満面の笑顔になる。
「まだ見習いみたいなものだから、ジョルトに手伝ってもらっているけどね」
「よろしくお願いいたします」
ラトの言葉を聞いて、傍らに控えていたジョルトが進み出て頭を下げる。
「なんと。むう、そういうことなら」
ラトとジョルトの顔を見比べ、驚きながらもうなずくルアンス。
「ではこちらに」
ジョルトに促され、ルアンスはラトたちとともに店の奥へと消えていく。
「機を見るに敏か」
「流石に目ざといですね」
商人の娘としてのたくましさに苦笑し合うアルザーとビアトロ。




