4 姿見えぬ狩人
二人は周囲を警戒しつつ、森の中を駆ける、とあちこちに黒い霧が立ち上っている。
その近くの木々の合間にはちらほらと人の手による仕掛けが見え、近くには矢が突き刺さっている。
その近くには短い矢が突き刺さったまま仰向けに倒れ、黒い霧と化していっている怪物。
すると突然、森の中に咆哮が響き渡る。
「あっちか」
二人は駆ける方向を転じ咆哮が聞こえた方向へと走る。
怪物達は獲物の姿を見失っていた。
こちらに逃げてきたのは間違いない。
怪物たちは視界が開けた場所で一旦足を止め、あたりを見渡していた。
しかし、あたりに見えるのは青々と葉が生い茂る木々と、茂みばかり。
獲物の姿を見つけられない怪物たちはうなずきあいその場を離れようとした、まさにその時。
風を切る音とともに何かが木々の合間を縫って飛んでくる!
それは怪物たちの内、一体の肩に深々と突き刺さり、そこから黒い霧が吹き出る。
刺さったのは一本の長い矢。
悶絶しながらそれを引き抜こうとするさまを見て、気がついた怪物たちは一斉に一点に目をやる。
そこも辺りとは変わらず生い茂る森の木々。しかし、怪物たちは何かを感じているのか、そこから視線を離さない。
その時、再び風を切る音が響き、矢が悶絶していた怪物に突き刺さる。
それが止めとなったか、その怪物は倒れ込み、その体は黒い霧へと変わっていく。
このままでは狙い撃ちに合う事を悟った怪物達は散らばり、森の木を盾にして矢が放たれている茂みに近寄ろうとする。
だが、歩みを進める魔物たちの一体の頭に何かが直撃する。
それは長い木の枝の先に取り付けられた棘のついた球体。
それとほぼ同時に風を切る音が起き、木を盾にしていたはずのもう一体が悲鳴を上げる。
見ると、怪物の背中側の肩に短い矢が突き刺さっていた。
引き抜こうともがく魔物だが、三度放たれた矢が怪物に突き刺さる。
だが、怪物はのけぞりはしたものの、矢が刺さったまま地を踏みしめ、茂みめがけて突進すると、手にした棍棒を躊躇なく茂みの中に振り下ろす!