39 駆け出し冒険者?
「……なるほど、あなたの事情はわかりました。しかし傭兵ならたとえ友と言えども次に出会えば敵どうしもあり得ます。怨恨や感情に流されるべきではないのでは?」
努めて平静を装いながらビアトロがルアンスに問いかける。
「確かにそうだ。頭ではわかっている。だが、それでも会わねばならん。自分自身を納得させるためにも。いや、本当のところ敵などどうでも良いのかもしれない。我が友に深手を負わせ、戦いを捨てさせるほどの相手がどんなやつなのか、それが知りたいだけなのだろう」
「ふむ」
そのルアンスの言葉を聞き、アルザーは何やら思案を巡らせているのか、そう短くつぶやくが、ルアンスは気に留めることなくアクレイの方を見ると、
「……ところで、そこの若いのも連れていくのか」
「ええ、まあ」
ビアトロの返答の歯切れが悪い。
だがルアンスは周囲を見渡しながら話を続ける。
「たしかに今は時期的に、駆け出し冒険者の教育をする時期ではある。が、竜と戦うのに駆け出しを連れていくのか?」
彼らの周囲には複数の集まりが卓を囲んで話し合っており、そのどれにも若者の姿が見える。
おそらくアクレイのことも、そうした春に冒険者になった若者だと思っているのだろう。
その判断は間違いではないのだが……
ルアンスの問いにどう答えるべきか、視線を交える三人だが、それに気づかぬまま彼は話を続ける。
「アクレイと言ったな。そなた、何が使える」
「剣と…槍、弩を少し」
その言葉にルアンスは僅かな驚きを見せる。
「なるほど。しかし、型通りだな。
大方村の兵士にでも習ったのだろう。なかなかだがその程度では足手まといだ。
今回はここに居残った方がいい。それだけで渡れるほどこの世界は甘くない。かのエダ・イスパーなら話は別だが」
その言葉にビアトロたちは再び視線を交わし合う。
「エダは剣しか使わない。だが、その戦いぶりは死神の名にふさわしいと聞く。我が友も槍を得意としていたがエダにやられた」
「いや、しかし」
「まあ、待て」
ルアンスに対して何やら言おうとしたビアトロを手を上げてアルザーが制する。
「アクレイが使えるかどうかは一戦交えてから判断したらどうだ?それならばお互い納得だろう?」
その提案にビアトロは呆気にとられ、アンスはうなずく。
「いいだろう、彼もお主らも現実を知れば納得できるからな」




