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34 裏の仕事

窓の外ではガシオン家の紋章のついた甲冑をまとい、剣と盾を手にして兵士相手に稽古に励む人物の姿があった。


「あの頃を思い出すわ。辛く大変だった…でも、忘れてはならない出来事。あの子にも知ってもらいたいもの」


フォレセアの言葉と甲冑や盾に描かれた紋章を見たビアトロは甲冑の人物に心当たりがあるのを思い出していた。


ラスパ・ガシオン


フォルトとフォレセアの間に産まれた、次のガシオン公爵家当主候補。


「あの人だけではない、幾多もの名も無き戦士達の戦い。それも誰かが語り継がなければ忘れられてしまう」


フォレセアの言葉にビアトロはうなずく。


「で、その依頼を受けたと」


「はい」


日が暮れ、宿に戻ったビアトロは、アクレイやアルザーたちとともに大部屋で食事を取りながらガシオン公との会談で依頼された事案について語った。


ちなみにエーブルとユイールは訓練で疲れ切ってしまったらしく、夕飯もそこそこにもう寝室で休んでいる。


「で、報酬は?」


「前金でこれです、後は成果次第と」


ビアトロが持ち帰った革袋を卓に置くと、アルザーが口を開けて中を確かめる。


袋のなかでは無数の金貨が蝋燭の明かりに照らされて輝いていた。


「なるほどな」


「何か?」


「いや」


首を傾げるビアトロにアルザーは言葉を濁すと袋の口を閉めてビアトロに返す。


「俺たちはこれを見なかったことにする、いいなアクレイ」


「なぜだ?」


「ルーメ・ラースを通していないと言うことは正式な、表沙汰にできない依頼なのだろう?」


「そうですね。まあ、密偵まがいの仕事ですから」


そう言ってビアトロは袋を手に取り、懐に納める。


「金額からしてガシオン公が我々ではなくビアトロに対して依頼した仕事。ルーメ・ラースを通さずに受ける仕事は危険な代物なのが多いし、ルーメ・ラース側にとっても自分を通さない仕事を受ける冒険者は良い印象を持たないだろう」

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