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「たしかその件、領主デュセル・アリューマ公の関与が噂されていましたが……」


「裏で繋がっているのか、あるいはたまたまか……どちらにしても一介の冒険者に過ぎない我々には預かり知らぬことだがな」


「確かに」


アルザーの言葉にビアトロはうなずくしかない。


確かに自分たちが詮索しても仕方のないこと。しかし、この件の関係者と無関係ではない以上、気にならないといえば嘘になる。


しかし……


そこに近づく足音に二人は顔を上げ、足音の主に目をやる。


そこには皮袋を携えたアクレイの姿があった。


「終わったぞ」


そう言うとアクレイは皮袋を卓の隅に置き、置かれた三つ目の椅子につく。


「ありがとうございます」


「一通り出来るようになったか、ならオレの役目も終わりかな」


「えっ」


先ほどと真逆の言葉にビアトロは眼を見張る。


「いや、それは困る」


「ほう」


首を振るアクレイにアルザーはわずかに表情を緩ませる。


「確かにあんたたちのおかげで俺は冒険者としての経験をつめている。だがまだまださ。さっきも言われたからな」


「そうか、ならしばらくは付き合おう」


そのやり取りを見ていたビアトロは安堵し、革袋を卓の中央に押し出す。


「では報酬の取り分ですが……」


「ん?」


「どうしました?」


革袋から目を離したアルザーに首を傾げるビアトロ。


「なんでもない」


そう言いながらも彼は階段から視線を戻さないのでビアトロも視線を動かす。


視線の先にいたのは階段から降りてきた一組の冒険者一行。それだけならよく見る光景だが、彼らは背の低い、見るからに幼さの残る二人をともなっていた。


それを見た卓についていた冒険者達がざわつきだす。


「子供がどうしてこんなところに」


「そうだな、なぜ『ここ』に連れてきたのか……アクレイ、荷物番を頼む」


「ああ」


ビアトロとアルザーはそう言うと席を立ち、渦中の中心に向かうが、その頃にはすでに人だかりができていた。

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