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118 堅牢なる鱗

が、そんな彼をさらに追い立てるべく更に前足を一歩踏み出す竜。


そこに反対から鞘から抜き放った剣を手にしたアクレイが駆け込んでいく!


それに気づいた竜は眼だけをぎろりとアクレイの方を向ける。


だが、アクレイはそれに気づかず、剣を両手で握り、その切っ先を竜の後ろ足に向けて突っ込んでいく!


再び草原に響く鈍く硬い音。


アクレイの剣の切っ先もまた、竜の鱗に阻まれる。


「くっ!」


アクレイは短く呻くと一歩後ろに下がり、やおら剣を振り上げ……勢いよく振り下ろす!


響いたのは明らかに先程とは異なる音。


風切る音とともに何かが草原に転がる。


それはアクレイが手にしていた剣の刃。そしてアクレイが手にしている剣は刀身の半ばからきれいにへし折れていた。


そこに剣で切りつけられた竜の前足が動く。


「ちっ!」


アクレイは舌打ちをすると折れた剣を投げ捨てながら後ろに飛び退く。その直後、竜の前足の爪はむなしく下から上へと空中を薙ぐ。


飛び退いたアクレイは視線を前から離さず、じりじりと後ずさりながら顔を上げて竜を見上げる。


とその竜と視線が合う。


「どうした、腰に下げているもう一つは使わないのか?」


その指摘にアクレイは顔をしかめる。


たしかに彼の腰にはもう一振り、鞘に収まった剣が下がっている。しかしこれは……


「むぅ」


その剣を抜くべきか否か、逡巡するアクレイ。


そこに……


脇から何かがアクレイと竜の間に割って入る様に飛んできて、地面に突き刺さる!


それは柄に青い宝石が埋め込まれた一振りの剣。投げてきたのは……


「アクレイ!使え!」


……アルザー!


「助かる!」


短くそう言うとアクレイは再び駆け出し、駆け抜けながら突き刺さった剣を引き抜く!と彼は違和感に襲われる。


剣が軽い。まるで訓練用の木剣でも握っているかのようである。


しかし、そんな彼の戸惑いなど気にせずアルザーが叫ぶ。


「アクレイ!振るって叫べ、『雷よ!』と!」

その言葉にアクレイは疑いを抱かない、そんな猶予はない。


言われたままに剣を振るい、叫ぶ。


「雷よ!」


その瞬間、振り下ろされた刃から稲妻と閃光が竜めがけて走る!


「うぬっ!」


その一撃を受け、初めて竜が呻く。


「……今のは魔法武器か!……やるな、ならば!」


そう言うと竜は背中の翼を再び開く。


「まずい!」


「また飛ぶか!」


そう言うとアクレイとルアンスは竜から更に距離をとる。


だが、竜は翼を広げはしたもののそれ以上のことはせず、辺り、というよりは自身の背中に生えた翼に眼を向け、交互に見ると驚愕の声を上げる。

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