51.すべてがキラキラ輝いて見える
お待たせしました。第二章開始しました!よろしくお願いします。
「あー……しあわせ」
目の前で繰り広げられているのは、騎士様たちの訓練。
キラキラと光る汗を飛ばして、皆真剣な表情で時折息を漏らし、勇ましい声を上げながら訓練用の木剣を振るっている。
あ~、格好いい……。たくましい。眩しい。素敵。癒やされる……。
「シベルちゃん」
「レオさん、ミルコさん」
ほわほわと幸せな気持ちでその様子を眺めていたら、レオさんに名前を呼ばれた。
振り返ると、そこにはすっかり王子の格好が様になっているレオさんの姿。隣にはいつも通り騎士服を着た、騎士団の中でも一際たくましいミルコさんがいる。
ミルコさんはレオさんのご友人でもあるけど、実は第一王子であるレオさんの側近だったらしい。
だからよく一緒にいたのだ。それに、エリート集団の第一騎士団は結果としてレオさんの最高の護衛部隊となっていたわけだし。
まぁ、レオさんは魔物討伐に積極的に参加していたようだけど。
「やはり、また騎士たちの訓練を見学していたのか」
「えへへ、はい」
「昨日も騎士団の寮に行って料理を手伝ってくれたらしいね。皆喜んでいたが……君はもう寮母ではないのだから、そんなことしなくてもいいんだよ?」
「はい。でも好きでやっているので……あ、たまたま手が空いていたので、寮母さんたちに会いに行ったついでに少しお手伝いしただけですよ!」
「本当に……シベルちゃんは」
そう言って息を吐きながらも、レオさんの顔にもミルコさんの顔にも笑みが浮かんでいた。
私たちが王都に戻って、ひと月が経った。
辺境の地、トーリに派遣されていた第一騎士団も全員王都に戻ってきたし、私が騎士好きであることを知っても、レオさんは引いたり気持ち悪がったりしなかった。レオさんはそんな私のことを笑って受け入れてくれたのだ。
だから私は今、最高に幸せ!
大好きな第一騎士団の方たちもいる。トーリで一緒に働いていた寮母の先輩も全員が王都に来て、私の侍女になってくれた方と、王都にある騎士団の寮で働く方に別れたので、いつでも会える。
それに、王都には第二騎士団の方たちもいるし、私はレオさんと……婚約……したし……。
騎士様たちは皆とても素敵だけど、私はレオさんのことが特別に好き。
レオさんは優しくて、心配りができる素敵な団長さんだった。
そんなレオさんに、私はいつの間にか恋をしていた。
私が騎士を好きになるきっかけとなった、初恋の〝黒髪の騎士様〟がレオさんだということも思い出した。
レオさんが昔私に会ったことがあるのを覚えているかはわからないけれど……。今度、機会があったら聞いてみようかしら。
そんなレオさんが本当は第一王子だったと知ったときはすごく驚いたけど、おかげで真の聖女だった私は、正式に王太子となったレオさんと婚約できたのだ。
レオさんはいつも私を気にかけてくれていて、とても爽やかな方。
それにレオさんの身体付きは、私にとってすごく理想的。
見ているだけでうっとりするようなあの腕で抱きしめられたら……硬いのにやわらかい胸筋に頰を埋めることができて大きな背中に私の腕を回すとほどよくついた完璧な筋肉を感じられてそれはもう言葉では言い表せないくらい幸せで――。
「――シベルちゃん? 聞いてる?」
「はいっ、すみません、聞いてませんでした……!」
つい、レオさんに抱きしめてもらったときのことを思い出しながら、レオさんの身体をぼんやりと見つめてしまっていた。そんな私になにか話していたレオさんが顔を覗き込むように見つめてきたので、はっとして手の甲で口元を拭う。
よだれ……! 出てなかったわよね!?
「はは、大丈夫かい?」
「はい! すみません、大丈夫です!」
「シベルちゃんと俺の婚約を発表する舞踏会がもうすぐだろう? 君のドレスが仕上がったから、そのとき着るものを一緒に選ぼう」
「はい」
今度はちゃんと聞いた。
それにしても、舞踏会のドレス選びか……。
レオさんとの婚約をお披露目する正式な場が、用意されているのだ。
「では、行こうか」
「はい……」
そう言うと、レオさんは当然のように手を差し出してくれる。私はドキドキしながらもその手に掴まらせてもらった。
レオさんと婚約してから、彼と並んで歩くときはいつもこうしてエスコートしてくれるのだけど……私は未だに慣れていない。
だって、こんなにたくましくて私の理想的な騎士団長様(元、だけど)の婚約者になれたなんて……未だに実感が湧かないのだ。
私は夢を見ているのではないだろうかと思いながら、このひと月を過ごしている。
第二章始まりました!
そしてタイトルを縮小しました!
第二章もまったりお付き合いいただけると幸いです!
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そして同作者の別作品
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