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24.俺の想いは伝わったかな?※レオ視点

「うん、美味いな」

「それはそうだろう、シベルちゃんが作ったのだから」


 シベルちゃんがわざわざ俺(と、ミルコ)のために作ってくれた蜂蜜漬けのレモンを、約束通りミルコの部屋まで届けに来た。

 トレーニング後、風呂に入って部屋着に着替えているミルコは、そのレモンをかじりながら満足気に頷いている。

 そんな友人を前にして、俺は彼が用意してくれたブランデーを舐めるように口に含んだ。


 もちろんそれにもシベルちゃんのレモンを一つ入れている。


 しかし……つい、俺が渡しておくと言ってしまったが、変に思われなかっただろうか。


 彼女は、本当は直接ミルコにこれを渡したかったのではないだろうか……?


「……」


 俺と同じようにレモンを一切れ入れたブランデーを飲みながら、更にレモンをかじるミルコを、じっと見つめる。

 

 俺は、シベルちゃんの力になってあげたいと言いながら、余計なことをしてしまったのではないか……?


「……」

「なんだ、俺の顔に何かついているか?」

「切れ長の目と高い鼻と引き締まった唇がついている」

「はぁ?」


 先ほど、ミルコとヨティが模擬戦を行ったとき――。


 シベルちゃんはミルコを見て、顔を赤くさせていた。ぽーっとして彼を見ていた。


 まさか……まさか、シベルちゃんはミルコのことが……!!?


 そう思ってしまった俺は、向かいのソファに座っている男前に、じっとりとした視線を向けた。


「レオ……お前にはそんな趣味があったのか」

「違う!!」


 だが、俺の返答にミルコは思いきり顔をしかめて、大袈裟なまでに引いている仕草を見せた。


 ミルコは昔から女性にモテる。

 彼の何がそんなにいいのだろうか。

 ……やはりこの顔か?

 それとも騎士の中でも特にたくましいその肉体か?

 いや……色男のくせに女に興味ありませんというような態度がいいのだろうか……?


「うーん」

「さっきからなんだ。はっきり言ってくれ」


 彼の頭から足先までをじろじろと見つめる俺に、ミルコは不快そうに息を吐いた。


「今日のヨティとの手合わせのとき、シベルちゃんが君をぽーっとしながら見つめていた」

「……は?」


 ミルコに覚えはないのか、間の抜けたような声で目を見開く。


「ただ、騎士の模擬戦を目の当たりにして感動したのだろう?」

「シベルちゃんのような女の子が騎士の試合を初めて見たら、普通怖がる」

「……肝が据わっているのかもしれない」

「ミルコは昔からすぐ女性の心を奪ってしまうからな」

「…………」


 俺が何を言いたいのか察したらしいミルコは、口を半開きにしたまま声を出さずに苦笑いを浮べた。


 我ながら、とても子供っぽいことを言ったと思う。


 しかしミルコとは子供の頃からの付き合いで、気を許しすぎてしまっているせいで、俺もついこういう態度を取ってしまう。


「後からそんなにいじけるなら、お前も部下の相手をしてやればよかっただろう。格好いいところの一つや二つ見せておけ」

「ではミルコ、君とやる」

「……あのなぁ」


 冗談半分で言ったその言葉に、ミルコはまたしても顔をしかめて深く息を吐いた。


「本気でやる気か、妬くな。彼女は別に俺のことをぽーっとして見つめてなどいない」

「……そうかな」

「そうだ。そのレモンだって、先にレオのところに持っていったんだろ? 最初にお前のことを考えたという証拠だ」


 友人のその言葉に、俺の気持ちはすぐに明るくなる。


「……そうか、そう言われてみれば、そうだな」

「というか、なんだ。まさか彼女に本気で惚れたのか」

「……」


 そしてその質問には、一瞬言葉を詰まらせてしまった。

 散々やきもちを焼いたというような態度を取ってしまった後だから、「そんなことない」と言っても、既に説得力がない。


 しかし……


 自分でも驚いている。


 彼女が自ら俺のところに訪ねてきてくれたのがとても嬉しくて、つい熱くなって自分の想いを伝えてしまった。


 口に出したら、余計胸が熱くなった。


 彼女の力になりたい。彼女の笑顔を守りたい。


 自然と湧き上がるその想いの正体が、彼女に恋をしているからだということは、もう子供ではないのでさすがにわかる。


 それでもシベルちゃんはいつも通りの明るい笑顔を見せて、逆に俺のことを心配するような顔をしていた。


 本当に、なんていい子なのだろう……。 


「二人きりで少しは何か話したんだろ?」

「ああ、何か辛いことがあればいつでも俺が相談に乗ると伝えた」

「彼女はなんて?」

「とても可愛い笑顔で、ありがとう、と」

「そうか」

「俺の想いは伝わっただろうか」

「伝わったんじゃないか?」


 まるで思春期の子供のようにそわそわと、そんなことを聞いてしまった。


 ミルコはブランデーを呷りながら空返事をしたようにも見えたが、そんなことが気にならないくらい、俺の胸はドキドキと高鳴っている。


 俺はやはり、シベルちゃんのことが好きなのか――?




好きですね。とレオに伝えたい方はぜひぜひブックマーク、評価の☆☆☆☆☆、いいねをぽちっとお願いします!


いつも感想ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)

笑いながら楽しく読んでおります!


次回、王子サイド。

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― 新着の感想 ―
[一言] イケメンがやるから絵になるが完全にヤバいやつで草
[一言] うん。どう考えても惚れてますね(笑) ミルコに妬いてるし。
[一言] 中学生かっ!(温かい目、のつもり)
感想一覧
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