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126.見てはいけないものを見てしまった

 無事、これからも私の護衛騎士様はヨティさんとリックさんが務めてくれることになった。


 本当によかったわ。


 私が自由に部屋から出ても怒られないし、王宮内であればこれまでのように一人で行動しても大丈夫。

 王宮内には、あちこちに騎士様や衛兵がいる。

 だから、少し大きな声を出せばすぐに誰かが来てくれるのよね。


 オスカー様はとても真面目な方なのでしょうけど、第一騎士団でうまくやっているのかしら。

 レオさんは、みんなからとても慕われている団長様だった。

 騎士団長様に親しみやすさは必要ないのかもしれないけれど、オスカー様は恐ろしいほどに無表情でなにを考えているのかよくわからない方。


 オスカー様も、ヨティさんやリックさんたちと仲良くやってくれるといいなぁ……。


「――あら?」


 そんなことを考えながら、手が空いた私は今日も騎士様の訓練を見学に行こうとるんるん気分で廊下を歩いていた。


 すると、トレーニングルームの扉がうっすら開いているのが目に留まった。


 誰かいるのかしら?


 ……もしかしたら、騎士様の誰かが筋トレ中?


 そんな期待を持ちつつそっと中を覗いてみると、誰かの声が聞こえた。


「美しい……」

「?」


 ぼそぼそと、独り言のようになにか言っている。


「完璧だ……完璧なこの肉体……」

「……!?」


 その声の主は、オスカー様だった。


 それも、全身鏡の前で上の服を脱ぎ、なにやらポージングしている。


 ……これは、なにかしら?


「やはり私自ら聖女様をお守りするというのもありだ」

「……」


 そんなことを呟きながら、自らの肉体を眺めているように見えるオスカー様。


 どういうことかしら?


 ……でも、思った通り、オスカー様はとても美しい筋肉をしているわ。

 ご自分でうっとりしてしまうのもわかるほどに。


「ん? 誰だ」

「あ……っ!」


 もう少しよく見ようと身を乗り出したら、オスカー様に気づかれてしまった。


「あの……その、すみません……! 扉が開いていたので、つい……!」


 逃げても無駄だろうから、姿を現して謝罪する。


 ……近くで見ると、やっぱり均整の取れたとても美しい肉体(筋肉)だわ……!!


「シベル様……見てしまいましたか」

「とても美しい筋肉をされていますね――じゃなくて、お着替えの最中だったのでしょうか? 失礼しました……!」


 着替えを覗いてしまったのなら、とても失礼なこと。いくら聖女でも、許されることではない。


 だから改めて謝罪したら、オスカー様はとても申し訳なさそうに口を開いた。


「いえ、こちらこそ。聖女様に失礼を……。すぐに服を着ま――」

「そんな! 失礼なんてことはなに一つありません!!」

「――え?」

「こんなに素敵な筋肉を見せてもらって、むしろありがとうございます!」


 その気持ちを込めて、一心にオスカー様を見つめる。

 そうしたら、一瞬困惑の表情を浮かべた後、オスカー様は満足げに言った。


「この美しい筋肉……わかりますか?」

「え?」

「さすがは聖女様。私のこの筋肉は、誰よりも美しいと自負しております」

「……まぁ」


 そう言いながら、先ほど鏡の前でやっていたように肘を軽く曲げ、もりっとした肩と腕の筋肉が強調されるようポージングするオスカー様。


 こんなに素敵な筋肉を、惜しみなくポージングまで取って見せてくれるなんて……。


 以前の私なら、泣いて喜んでいたことでしょう。

 これがレオさんだったら、感動のあまり鼻血を出していたかもしれない。


 でも、あまり見ては駄目よ、シベル。


 レオさんに悪いわ。

 それに、確かにオスカー様の筋肉も素敵だけど、私にとってはレオさんの筋肉が一番素敵だし……。


「ご覧ください、シベル様。この上腕二頭筋、そして大円筋」

「……まぁ」


 動揺する私に構わず、オスカー様はポージングを続ける。

 なんだかいつものオスカー様とイメージが……。


 とても活き活きしているわ。

 こんなに惜しむことなく筋肉を見せてくれるのはとても嬉しいけれど、なんだか罪悪感が芽生えてくる。


「この筋肉のよさをわかってくれるご令嬢には初めて会いました」

「……そうですか?」


 私も、筋肉が好きだなんて口外しているご令嬢にはお会いしたことがない。

 騎士様たちは皆さん立派な筋肉だけど、こんなふうに自分から『見てくれ』と言われたこともない。


 ……もしかしたら私は、見てはいけないものを見てしまったのでは?



オスカー団長……!!(ごめんなさいw)


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― 新着の感想 ―
ただのむっつり筋肉変態やんけ(゜д゜) その意味では性女の同類項や(゜д゜)
自分が聖女の護衛になりたいだけだったとかw でもごめんなさい最高の筋肉はレオさんなのw
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