表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/131

118.このお湯になりたい

「――レオさん、いらっしゃいますか?」

「ああ、シベルちゃん。どうぞ」


 レオさんは執務室にいた。まだお仕事をしていたのね。


「すみません、お忙しかったでしょうか?」

「いや、ちょうど今日はもう終わりにしようと思っていたところだよ」

「そうですか」


 執務机から立ち上がってこちらに歩み寄ってきてくれるレオさんだけど、ふぅと息を吐いたそのお顔には疲労が窺える。


「お疲れ様です。お食事はされましたか?」

「ああ、先ほど父上と軽く」

「そうですか。お風呂はこれからでしょうか?」

「うん、そうだけど?」

「それでしたら、ぜひこちらをお湯に入れてみてください!」


 その返答に、私は持ってきていたアロマの小瓶を張り切ってレオさんに手渡した。


「……これは、母上のアロマか?」

「はい! 先ほど聖女の加護を付与してみました!!」

「え……? 早速やってみたのか」

「はい!!」


 小瓶を受け取ったレオさんは、それをじっと見つめて少し驚いたような顔をした。


「すごいな……確かにシベルちゃんの魔力が付与されている」

「これをお湯に入れれば、温泉のような疲労回復効果が得られるかもしれないと思いまして。ぜひレオさんに使っていただきたいです!」

「シベルちゃん……君も疲れているだろうに、ありがとう」


 レオさんはとても嬉しそうにそう言って目を細めた。


 うふふ、レオさんに喜んでいただくことが私の癒やしですからね!


「それじゃあ早速使ってみるよ」

「はい! ぜひ!!」


 本当はちゃんと効能が発揮されるかこの目で見て確認したいけど……。

 違うわ、レオさんが入浴しているところが見たいわけじゃなくて、本当に効果が知りたいだけで……!!


 なんてことを心の中で思いつつ、それは後で自分で確かめてみればいいわよね。と考えていた私に、レオさんは思いもよらないことを口にした。


「シベルちゃん、君も一緒に来てくれるかい?」

「喜んで!! ……え? 今なんて言いました?」

「疲労回復効果がどの程度か、君もその目で確かめたいだろう?」

「は、はいっ!! ですが」

「よかった。それじゃあ行こうか」

「…………」


 私の手を取って歩き始めたレオさんに、私は混乱しながらも身を委ねる。


 聞き間違いじゃないわよね?

 レオさんは、私の心を読んだのかしら……?


 そう思ってしまうほどの素敵すぎる提案に、私はドキドキと高鳴る鼓動を抑えてレオさんと一緒に浴室へ向かった。




「――もういいよ、シベルちゃん」

「はい……!」


 脱衣所で服を脱ぐレオさんを、私は心臓が壊れてしまいそうな思いで待ち、大きく深呼吸をしてから振り返る。

 このお風呂場は一人用サイズではなく、レオさんや側近であるミルコさんら、幹部の方たちが使用している大浴場。

 いつでもお湯が張ってあって、皆さん好きなタイミングで入浴できる。


「行こうか」

「……はい」


 腰にタオルを巻いているけれど、レオさんの美しすぎる身体を隠しているのは、おそらくその布一枚だけ。


 胸筋も腹筋もすべてが見えている。キラキラと輝いていて、眩しすぎて視界が歪む……。

 駄目、倒れちゃ駄目よ、シベル……!!


 海に行ったときに水着姿は見ているというのに、穿き物ではなくタオルを巻いているだけというのはまた、なんて色っぽいのでしょう……。


「これは、破壊力が……耐えられるかしら……」

「ん? なにか言った?」

「いえ……!!」


 レオさんは純粋にアロマの効果を見せてくれようとしているだけなのよ!

 鼻血を出して倒れてしまわないよう、気をつけなければ……!!


 気合いを入れて、レオさんと一緒に浴室に入る。

 私は服を着ているから少し暑いけど、理由がそれだけではないのは確実。


「では、アロマオイルを入れますね」


 なんてことはないいつもと同じ浴槽に、アロマオイルを数滴落とす。

 ディアヌ様のアロマは、それだけでもすごくいい匂いがして心が癒やされる。


「おお……!」


 けれど、アロマが全体に広がっていった頃、パァーっとお湯が一瞬淡い光を放った。


「レオさん、入ってみてください」

「ああ」


 片足からそっとお湯に浸かっていくレオさんを、じっくり見届ける。

 ちらりと見えた内ももに、思わず息を呑む。


 な、なんて色っぽいの……!!

 ち、違うのよ、これはちゃんと効果が付与されているか見るためで――!


「すごいな」

「――え?」


 レオさんが色っぽすぎてドキドキしてしまう私の耳に、真剣味を帯びた声が届いた。


「浸かった瞬間にわかる。どんどん疲れが癒えていく。これは、温泉以上の効果だ」

「まぁ……」


 既に肩までお湯に浸かっているレオさんに、私からは感嘆の息が漏れる。


 熱い湯気が舞い上がり、レオさんの肌を包んでいる。

 心地よさに満ちた笑みも、汗に濡れた額も、お湯に濡れているたくましい肩も、私から見えるレオさんのすべてが妖艶で魅力的。


 ……このお湯になりたい。



シベルご褒美回です。

3章までくるとだいぶ強烈なご褒美が……!!


コミックス1巻が12/6(金)発売決定です!!\(^o^)/

土橋朱里先生による描き下ろし漫画20P超収録、描き下ろし筋肉も収録です!!ᕙ( 'ω' )ᕗ

めちゃめちゃ面白く、最高に素敵なコミックスにしていただけましたので、ぜひぜひご予約お願いいたします〜!!m(* _ _)m

表紙イラストは活動報告にて!!


★特典情報はこちらから↓

https://pash-up.jp/information/kishizukiC1_1206

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
昇天しないとはシベルちゃんよく頑張った! 感動した! でも今からこれだと結婚した後が心配w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ