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110/131

110.瘴気が強すぎて

 昨日はゆっくり温泉に入って、レオさんのバスローブ姿が見られて、いい夢を見たような気がする。

 あまり覚えていないけど、目覚めはとてもよかった。


「さぁ、今日は頑張りましょう……!」



 朝食を食べ終えた私は、レオさん、ミルコさん、リックさんと一緒に、ヨティさんの案内で瘴気が発生してしまったという湖に向かった。


 馬車に揺られながらその場所へ向かったけれど、さすがに少し緊張してきた。

 瘴気を浄化するのは初めて。

 うまくできるかしら……。

 ううん、きっと成功してみせるわ!!



「――ここはピクニックをするのにちょうどよくて、人気の場所だったんすけどね」


 しばらくして到着したのは、街の外れにある大きな湖。

 こんな静かで美しい場所にある大きな湖なら、確かにピクニックには最適だし、とても人気があったのも頷けるけれど――。


「これは……酷いですね」

「ああ」


 確かに、湖全体の水が黒く濁っている。


 それに、私にでもわかるほど強い瘴気を感じる。

 この湖の中に強い魔物がいてもおかしくないレベル。

 でも、この湖から魔物が湧いているとは考えにくい。

 これまでは普通の湖だったというし。


「とにかく、浄化してみます」


 近くに魔物の姿はない。

 魔物が近づけば、ミルコさんがいち早く察知する。

 けれど、湖から発生している瘴気が強すぎて、ミルコさんの感知能力が鈍る可能性もある。

 それに、魔物は強い瘴気に引き寄せられるようにやってくる。

 聖女である私がいても、これだけ強い瘴気なら、魔物がやってくる可能性は大いにある。


 だから魔物が現れる前に早く浄化してしまおうと、私は手を胸の前に組み、目を閉じて祈った。


〝悪しき魔物の瘴気、浄化されよ――〟


 隣にはレオさんがいて。ミルコさんたちもいてくれる。


 だから安心して聖女の力を使うことに集中できているはずなのに、手応えがない。

 瘴気が消えていく感じがまるでしない。


「……駄目、ですね」

「シベルちゃんの力は解放されているというのに……」

「あの、直接水に触れながらやってみてもいいでしょうか?」

「しかし、瘴気は人体に有害だ。いくらシベルちゃんが聖女でも、直接触れないほうがいい」

「……では、もう少し近づいてみます」

「わかった」


 ギリギリのところまで近づき、膝を地につけ、もう一度目を閉じて祈る。


「シベルちゃん、気をつけて」

「はい」


 レオさんたちも近くまで来てくれた。

 大丈夫、今度こそ私がこの瘴気を浄化してみせる――。


「おお……!」


 先ほどと同じように祈ると、今度は手応えを感じた。

 目を閉じていてもわかる。

 私の力が湖に届いている。少しずつだけど、瘴気を浄化していってる。


 思わず漏れたように声を出すヨティさん。


 この調子……、この調子で続ければ、きっと――!


 そう思い、力を強めた直後。


「シベルちゃん――!!」

「――っ!?」


 ザバァ――と水音が聞こえるのと、レオさんが私の名前を呼んだのは同時だった。


 目を開けた次の瞬間には、何者かに引っ張られるように、私の身体は瘴気で黒く濁った湖の中に落ちていた。



シベルピンチです。


本日、騎士好き聖女のコミカライズ第12話が更新されてます!

ぜひぜひコミカライズもお楽しみくださいませ~!!

皆様の推しを見つけてくださいᕙ( 'ω' )ᕗ

https://pash-up.jp/content/00002552

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― 新着の感想 ―
[良い点] 每話楽しく読ませて頂いています。もう、シベルが涎を垂らさないか、每話心配で心配で。 せっかくのピクニックが…波乱の展開にワクワクドキドキです。 [一言] こ、これはー、これはピンチなのかー…
[一言] レオさんの すごくいいとこ見てみたい!
[一言] これは隣にいなかった護衛の失策ですわ( ゜д゜)
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